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2004.2.5 |
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流感がもたらす危機…厚生労働大臣の、鳥インフルエンザに関する発言を見て、驚いた。危機感が感じられないのである。「新しい形の人間にうつるインフルエンザウイルスが、そこから生まれてくる可能性があります。それが一番注意しなければならないことであります。」と、よく知られているリスクを指摘するだけ。 どのように注意するのだろう。そして、生まれてきたら、一体どうするつもりなのだろう。 総責任者の役割とは、リスクを語ることではない。リスクの重大性を判断し、対処方針を指示することだ。 とはいえ、対処策も多少は語られている。 しかし、「感染をしております鳥を早く処理」すれば解決、というもの。そして、「鳥インフルエンザウイルスに感染をしたと思われる人が出た時、直ちにそれに対する報告をしてもらいたい」とのお願いだ。 (http://www.mhlw.go.jp/kaiken/daijin/2004/01/k0113.html) 要するに、重大事態とは考えていないのだ。 それでよいのだろうか。 素人でも、2003年12月の韓国の事態を見た瞬間、ただならないリスクを感じる。 → 「インフルエンザ研究への期待」(2003年12月19日) 渡り鳥が持ち込んだウイルスが、突然、大規模感染を引き起こす訳があるまい。少し前に発生した中国からウイルスが飛び火した可能性が高い。もしそうなら、中国南部に、ウイルスの巣窟ができていることになる。 いったん巣窟ができてしまえば、潰すことなど不可能に近い。グローバル経済の時代、鳥インフルエンザ感染拡大は時間の問題でしかない。 パンドラの箱が空けられたのである。 しかも、もう少し時間的余裕があるのかと思っていたら、すぐに日本でも発生した。 日本は、戦後は1度も発生していないという、世界でも稀な国である。その国の、特定の施設だけで、発生したのであるから、韓国同様の感染と考えるのが自然だろう。 韓国と日本で連続的に発生したということは、中国辺りに、流行っている広い地域がある、と考えるべきではないのか。 おそらく、相当昔から、流行っていた筈だ。 ところが、政府筋は、日本での発生は、渡り鳥が持ち込んだウイルスが原因ではないか、と発言したらしい。この感覚には仰天した。危機感どころの話しではない。感受性が違う。 ウイルス流入ルート探索を行うつもりがないのかもしれない。 どこから、どのように、ウイルスが入ったのかを知る疫学調査こそ、感染防御の第一歩なのだが。 実際、アジア地区の調査が進むに従って、次々と感染地区が判明してきた。 東アジアのほとんどの国々(日本、韓国、台湾、中国、ベトナム、タイ、インドネシア、ラオス、カンボジア、パキスタン)に鳥インフルエンザ感染が広がっていたのである。 (http://idsc.nih.go.jp/others/topics/flu/map-asia0202.gif) これだけでない。すでに、ビルマ、バングラディシュ、サウジアラビアでも鳥の大量死の話しが流れているという。 (http://www.iht.com/articles/127607.html) ここまでくれば、手のつけようが無い状態、と言ってよい。 鳥インフルエンザウイルスは東南アジアのそこら中に拡散しているのだ。 こうなると、鳥インフルエンザウイルスとヒトインフルエンザウイルスが合体した「恐怖のウイルス」の登場は時間の問題である。何時発生するかはわからないが、確実に現れる。 そして、現れたら最後、鎖国でもしない限り、防御不能である。鳥での猛威から推定すれば、ヒトに広がれば、惨事どころの話しではなかろう。 抗ウイルス剤を、感染初期に投与することに失敗すれば、日本だけで、死者は数万人に達するだろう。 流石に、中国政府も事態の深刻さを理解したようだ。日々流されるニュースを見ると、鳥インフルエンザ(禽流感)の広がりを抑えるため必死に動いているようだ。 (http://www.xinhuanet.com/newscenter/qlg2004/a1.htm) しかし、手遅れかもしれない。たとえ中国が力で抑え込んだとしても、東南アジア全域に広がってしまったからである。 死者が出たタイでは、政府は、2ヶ月で感染抑制と主張しているが、今もって鳥インフルエンザが発生しているのではないかと見る人がいる。 (http://bangkokpost.net/News/02Feb2004_news05.html) 政府がいくら防疫を進めても、農家一軒一軒が飼っている鶏まで管理できまい。一度疫病が広がれば、感染鶏がどこに持ち込まれるかわからない。政府の力を信用しないのは当然といえる。 死者数が増えつつあるベトナムでも、防疫の進展は今一歩である。15万着の衛生防御着の要求に対して、僅か136着しか用意できないのが現実である。 (http://vietnamnews.vnagency.com.vn/2004-02/02/Stories/04.htm) いい加減な防御状態で消毒作業をすれば、ヒトへの感染可能性が高いのは言うまでもない。 悲観論を述べたくはないが、現実は余りに厳しい。 鳥インフルエンザウイルスが直接ヒトに感染し始めた上、ヒトからヒトへの感染が始まっている。感染者の増加は、鳥ウイルスとヒトウイルスの両者に感染した患者が発生することに繋がる。両ウイルスがヒトのなかで合体すれば、致死率が高く、ヒトへの感染力が強い、とてつもなく危険なタイプが生まれる。 東南アジアの6月(雨季)は、恐怖の季節の始まりかもしれない。 侏儒の言葉の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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