← トップ頁へ

2004.3.26 



使えるポータルとは…

 このウエブ(RandDManagement.com)がカバーする範囲が広く映るようだ。そのため、どうやって情報を探しているのか、と尋ねられることが多い。

 確かに、このウエブでは、産業分野や、技術領域を絞っていない。しかも、そこから逸脱する議論が多い。この観点からは、特化していないのだ。当然ながら、特定コミュニティに属して、その内部で活発に情報交流をすることは行っていない。
  → 「技術マネジメントに聖域無し」 (2004.1.7)

 にもかかわらず、広範な情報が引用されるから、何か秘訣でもあるかと訝る人もいるようだ。

 もちろん、様々な人々から、ご意見を頂戴することが、話しのきっかけとなってはいるが、インサイダー情報とは無縁である。公知情報をベースとして、論点について、コメントしているだけのことである。
 特別な情報源を用いることはない。検索にしても、基本はgoogleである。

 但し、どのような基本情報があるかをおさえず、googleで表示される情報に接することはしないだけのことだ。
 ある程度わかってから、google検索を行うのである。

 これは、全体像を眺める際の鉄則だと思う。

 もし守らないと、大変なことになる。
 大抵は、日常雑記のような、問題意識の埒外で書かれたものの膨大な山にぶち当たる。ネット販売の宣伝が並ぶときもある。見たくない頁ばかり回覧させられることを考えるだけで、気が遠くなる。
 一方、上手く検索すると、実質的な情報が満載のものが沢山現れる。こちらは、さらに酷い目にあう。何処まで見ても、8〜9割の情報は、他からの丸写しや、単なる整理/引用ばかりだ。ものの見方が記載されていない上、似たようなデータが形を変えて次々と現れる。情報をまとめた方々の意欲はわからないでもないが、見る方はたまらない。

 この悲劇を避けるため、まずは、全体を眺める必要がある。
 これは、ポータルサイトに頼るしかない。

 実は、これがやっかいなのである。日本国内の流れをさっと読みたいなら、情報は偏っている可能性はあっても、海外ポータルサイトの方が便利で安心なのだ。
 代表例は、「JGuide」(1) である。英語ではあるが、日本語へのリンクもついている。

 このサイトは日本を研究したい人のために作られているから、使い易いのである。一般の日本の生活者のためのものではないし、商用宣伝も入らない。雑音はカットされており、グローバルな視点で、重要そうなものがはっきり見える。
 例えば、インタレスト・グループのビジネスには、8団体(分野: 銀行、電力、鉄鋼、チェーンストア、中小企業(商工会議所)、エレクトロニクス、石油化学)だけが並ぶ。この簡素さがよい。
 (但し、簡素で見易いのは、ウエブが出来立てで情報登録が進んでいないだけの話しかもしれないが。)

 情報が多すぎると、たまらないのである。

 ところが、このサイトを推奨しても、さっぱり魅力を感じない人が多い。

 それは日本人なら当然かもしれない。例えば、Corporate R&Dの項目を見ると、僅かな会社しか並んでいない。これでは確かに、役に立たない。

 しかし、どのようなポータルサイトを求めているのか、じっくり考えれば、意味は変わってくる。

 「JGuide」は、正確で網羅的という点で優れているのだ。
 単純だが、極めて重要である。この要件を満たしているポータルサイトは意外と少ない。

 しかし、網羅性を語ると、Corporate R&Dのリストの貧困さと矛盾するように感じるかもしれない。
 ここだけ見れば、網羅どころではない。と言うより、ほとんど意味がないリストだ。
 ところが、これは大した問題ではない。

 網羅性の担保とは、量ではないのである。

 ここが重要である。
 あくまでも、構成方針が鍵を握る。いくらデータ量が多くても、全体構成の論理が曖昧だと、何が漏れているか気付かない。そのようなポータルはかえって危険である。逆に、論理が伝わってくるなら、全体像はすぐに飲み込める。欠けているところや、さらなる詳細が欲しければ、他の方法で補えばよいのである。さっと代表例を見て、論点を整理するには、この程度の簡素な構成の方が便利なのである。

 そして、常に情報が更新されていることも、必須条件と言えよう。
 これこそ、正確さの土台である。
 古い電話帳の一部を更新しただけの電話帳を使う人はいないと思うが、現実にはリンク切れが並ぶポータルサイトは多い。一時の情熱で、サイトを開設しても、多大な労力がかかるため、メインテナンスされなくなる。更新状態が悪いサイトの利用は避けるしかあるまい。

 --- 参照 ---
(1) http://jguide.stanford.edu/

 侏儒の言葉の目次へ

(C) 1999-2004 RandDManagement.com