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2007.3.28 |
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将棋の力とは…ヒトの思考パターンを考える上で、将棋はわかり易い題材だと思う。→ 「 羽生氏の強さの素」 (2006年9月11日) 大和証券杯特別対(1)対「ボナンザ」戦で勝利を収めた若手棋士、渡辺明竜王のブログを読むと、ヒトの頭脳とコンピュータ分析の違いがうっすらと見えてくる。 → 「渡辺明ブログ 」 (2007年3月22日) ---“将棋と息子と競馬の話題”のみのブログだそうである. 112手でプロ棋士が勝ったのだが、序中盤はボナンザが大善戦したとされる。 だが、思った通り、コンピュータは情報を捨てる技術が今一歩だった。 “コンピューターは詰みがすごいので終盤が強いというイメージがありましたが詰み以外の終盤の技術は苦手ということがわかったのは収穫でした。”ということ。 つまり、“コンピューターはあらゆる手を広く考えるので絞って深く読むのが難しいのかもしれませんね。人間の経験のほうが上、ということでしょうか。” 実は、この対戦に触発され、頭脳の話を書いたのである。 → 「頭脳トレーニングの方法論」 (2007年3月27日) ちなみに、渡辺明竜王は、棋士対戦と同じように真摯に対処したらしい。 “油断は禁物。一週間ほど前から、とにかくボナンザと指しまくりました。数百局は指しました。と言っても「これは参考にならない」と思ったら途中で打ち切るので最後まで指したのは多くないと思います。” “好きな手、嫌いな手、長所、短所、かなりの事が分かりました。現在、プロ棋士でボナンザについて一番詳しいのは僕でしょう(笑)” その結果、「ボナンザ」は四間飛車穴熊で来ると読み、的中。 アマチュアトップとの対戦結果から、“穴熊でガチガチに固めた後、怒濤の攻撃”(2)をしてくると、「ボナンザ」侮れず、との説は正しかったようである。 もっとも、事前研究は「ボナンザ」側も相当行なったようである。 “心配もありました。それはボナンザが今回用に改良されて(強くなって)くるのではないか。という点です。この不安も的中してしまいました。” ハハハ。 もっとも、“コンピューターにもうっかりがあるのですね。コンピューターの終盤戦は完璧だと思っていたので少し安心しました(笑)”とのこと。 などと、コンピュータの話を真面目にしたい訳ではない。なんといっても面白かったのは、棋士の心理の方だ。 “完全にビビりました。控室に戻り、とにかく落ち着こうと思ったのですがドキドキするしソワソワするしで軽パニック状態。考え出すと悪いことしか浮かんでこないので時間までテレビを見て気分転換しました。” “一ヶ月ほど前からこの日が近づくに連れてかなりのプレッシャーを感じていました。そのプレッシャーから開放されて今日はよく眠れそうですzzz” いや〜、プロとは言え、本当にお疲れ様でした。 渡辺明竜王ファンになった人も多いだろう。 それに、美容院に初めていった話に共感を覚えた人もいるかもしれない。少なくとも1名はいる。 ちなみに、このソフト「ボナンザ」だが、保木邦仁氏が“本業の合間を見つけては,この将棋プログラムを一人でコツコツと書い”たもの。“20Mbyte以下の使用メモリで軽快に動作”するから、家庭用パソコンで使える。 フリーソフトでダウンロード可能。(3) しかし、コンピュータの能力向上はすごい。“力任せの探索は簡単・高性能!”(4)になってしまったのである。 半導体装置の超高額化はあるものの、ムーアの法則は当面成り立ちそうだから、このままなら、コンピュータはヒトの頭脳と同等の処理能力を持つようになる訳だ。 → 「Kurzweilの予想」 (2001年11月6日) 今回の対戦で使用したCPUは「Intel Xeon X5355 2.66GHz 8M FSB1333 FC-LGA6 Clovertown x2 (8core)」(5)であり、サーバ用だが、特別なものではない。 もし、これがスーパーコンピュータだったら、渡辺明竜王は負けていたのかも知れぬ。 --- 参照 --- (1) http://www.daiwashogi.net/ (2) http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/1120/bonanza.htm (3) http://www.geocities.jp/bonanza_shogi/ (4) http://www.geocities.jp/bonanza_shogi/gpw2006.pdf (5) http://www.magnolia.co.jp/bonanza.html 侏儒の言葉の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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