■■■ 多摩動物公園の見所 2013.10.11 ■■■

   故トウキョウトガリネズミ

「尖鼠」とは、鼻先が細長く尖っていて、耳と目が矢鱈に小さく、体長が僅か数センチにしかならない陸上棲哺乳類。土中生活者ではないから、ネズミという名称になってはいるが、柔らかげな皮膚といい、体型や生活にしてもモグラ様の生物。もとろん動物園ではモグラ扱いで、野鼠様達とは (→ ハタネズミ[2013.3.29]) ご一緒ではない。

この小哺乳類動物はもっぱら蚯蚓、甲虫、節足動物を食べているとされる。だが、その様子から想像するに、蛋白質系の臭いがあると、とりあえずなんだろうが口に入れるのではなかろうか。食物の選り好みなど全くなく、敵でなければ、たとえ自分より体躯が大きかろうが食べてみようとしかねない動物かも。小さくスリムな体型を旨とするらしいから、代謝上、ただただ餌をガツガツと食い続けねばならないという。どういう訳か、体に貯蔵する仕組みを持たないのである。(例えば、"Fat-tailed dunnart"も、とんでもなくガツガツ喰いらしいが尾に栄養を貯めるという。それが枯渇すると休眠状態になるようだ。)従って、餌にありつけないと、なんと、数時間で餓死するという。まさに必死の食餌活動である。
「食べるために生きている」と言えよう。しかし、これぞ生物の原点。

そんなこともあり、鼻を効かせ、始終チョコマカチョコマカと忙しく動き回り、全く落ち着きが無い動物である。おそらく、呼吸や心臓の鼓動も忙しないことだろう。所謂、生き急ぐ哲学の持ち主。
と言っても、観察すると、流石に休みなく走り回っている訳ではなさそうで、安心な場所に戻って一息つくようだ。それだけが唯一の楽しみかも知れぬ。もっとも、その時間たるや僅かなもので、またすぐに活動開始なのだが。
下記リンクは成仏前の元気なご様子。
 → 「トウキョウトガリネズミ」@東京ズーネット「どうぶつ図鑑」
    [Video 1:34] 2006.2.10 多摩動物公園


この映像を見ると、胴体2cm強で、尻尾がさらに1cmちょっとか。これほど小さいのは都会育ちだからということではない。正真正銘の道産子。今迄捕獲された個体がえらく少ないというから、多分、滅多に調べる人もいなかった原野育ちだろう。もちろんのこと希少種である。

同じ動物園のコアラ君と言えば一日のほとんどは寝て暮らしているそうだが、トガリネズミ君は寝ている様子が無いというのだから驚異的。どうなっていることやら。
この手の動物は飼育員さん泣かせ。無理して展示することもなかろう。
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