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観光業を考える 2005年12月5日
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汐留のビル街探訪…

 ビル群が東京の名所になりつつあるので、眺めてみた。

 その一例が、汐留の再開発地帯。(1)

 正直に言えば、わざわざ見物に行った訳ではなく、仕事で行っただけだが。

 それにしても、ここは大変身である。JR新橋駅の西側の飲み屋に馴染みがあるサラリーマンからすれば、駅反対側の寂しい地帯としか思えないから、驚愕だろう。

 JRから歩けば、ゆりかもめ駅の先が、この地帯の入り口といった感覚だ。そこですぐに目に付くのが、「汐留シティセンター」と「日テレタワー」。

 「汐留シティセンター」は典型的な米国流のガラスビル。
 遠目にはグリーン系に映るだけで、正直言って何の変哲もないデザイン。しかし、近くでよく見ると、様々な造形が組み込まれている。Kevin Roche の作品だが、その印象は余りに薄い。(2)

 う〜む。

 このような高層ビルからなるオフィス街がこれからの基本なのだろうか。
 ビルの高さを競うような、つまらぬ競争から抜け出たのは嬉しいが、どうもしっくりこない。

 このビルのま横に聳えているのが「日テレタワー」。
 やはりガラスビル。
 互いに意識したのか、同じような思想が流れているのかわからないが、これが21世紀初頭のビルデザインの主流なのだろう。

 しかし、こちらの特徴は、ビルそのものより、その下の狭い“広場”の方だ。ビルの庇を使ったオープンカフェが設定されている。(3)
 しかも、地面は昔の素材が使われている。ガラスとは全く違う質感なので不思議な設定だが、これこそ東京の特徴かもしれない。
 もっとも、“オープン”カフェで一息つくといっても、どうしても上を眺めてしまう。そうすると、開放感というより、巨大構造物からの圧迫感を感じる。つまり、その圧迫感の愉しみが提起されているのだろう。

 このビルの隣が「汐留タワー」だが、こちらは下部に日本庭園のイメージが取り入れられている。しかも、ビルの素肌は赤土色のテラコッタだ。このビルだけは独特である。なんとなく、温もりを感じる。(4)
 これこそ人が働くビルに適していると思うのだが、この一帯では例外的な建築である。資生堂のオフィスとホテルだから当然かもしれぬが。

 そうそう、「汐留シティセンター」のお隣のビルを忘れてはいけない。
 「松下電工東京本社ビル」(5)がある。「ナショナルセンター東京」(6)のショールームが入っているビルだ。
 さっぱりビルの宣伝を見たことがないから、地味なビルだと思っていたが、これが結構面白い。
 ビル自体は全く目立たないのだが、それは昼間の話。夜の照明が秀逸である。企業のアイデンティティを象徴するような佇まいだ。オフィスライフに合うデザインを追求している姿勢が感じられ好感が持てる。
 こんなビルこそ、日本が誇るべき建築ではないかと思うのだが、そんな発想は、ビジネスマンだけかもしれない。

 素人が見て、印象的なのは、やはり「汐留メディアタワー」(7)と「電通本社ビル」(8)
 両者ともに三角形だが、前者は丸みを帯びているのに対して、後者は、鋭いエッジだ。
 三角ビル自体に新しさは感じないし、似たりよったりのものが多いが、「電通本社ビル」は“凄さ”を越えて“怖さ”を感じさせる位だ。
 それは当然かもしれぬ。ここは真剣勝負が行われる、知的生産工場なのである。

 まだまだ続きはあるが、この辺にしておこう。(なかには、バブル期を彷彿させる仕様のビルもあり、なんとも形容しがたい。)

 オフィスビルをどう考えるかは、知財で食べようという国にとって極めて重要なことだと思う。
 そんな観点から、汐留一帯を眺めることをお勧めする。

 付け加えておくと、汐留伊太利亜区画は住民用と考えたらよい。それなら、わざわざ足を運ぶ気にもなるまい。

 そうそう、書き忘れていたが、ここでのモニュメントは、1872年の開業当時の外観を再現した「旧新橋停車場」である。列車が無いのがチト寂しいが。

 --- 参照 ---
(1) http://www.shiodome.net/access/
(2) http://www.shiodome.st/prt/design.html
(3) http://www.shiodome.net/floor/
(4) http://www.kajima.co.jp/news/press/200302/27a1fo-j.htm
(5) http://www.mew.co.jp/corp/profile/access/tokyo.html
(6) http://national.jp/center/tokyo/index.html
(7) http://news.kyodo.co.jp/info/mediatower.html
(8) http://www.dentsu.co.jp/column/hyakunen/syaoku3.html
(9) http://www.ejrcf.or.jp/shinbashi/shinbashi.html


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