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観光業を考える 2006年5月29日
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これから流行りそうな短期旅行のタイプとは…

 「東京→名古屋」は新幹線のぞみで約2時間かかる。この片道料金が\10,780である。「東京→仙台」もだいたい同じようなものである。
 ディスカウント・チケットもあるとはいえ、東京から交通費2〜3万円での鉄道旅行は、距離的に、この範囲内に限られる。

 ところが、鉄道を離れて、航空機を使うパッケージ旅行にすると、とんでもないことがおこる。
 駅前で配られているパンフレットを見ると、ソウル3日間が、2泊の宿泊代金を入れて、なんと、\19,800である。成田の空港使用料約¥2,000は別だが。

 安価だが、空港に行くため、JR特急成田エクスプレスをつかうと、「東京⇔成田」の運賃、\6,000弱が必要となる。(片道:乗車券¥1,280+特別料金¥1,660)

 鉄道運賃高しとの印象は否めない。

 鉄道で観光客を呼ぶキャンペーンは盛んだが、この状態が続く限り、東京からの鉄道旅行人気は落ちていく一方だと思う。

 そのスピードは意外に早いかもしれない。

 団塊の世代の退職が始まり、時間の余裕を持つ人が大量に発生し、一寸した観光旅行をしたい人が爆発的に増える可能性が高いからだ。
 割高につく鉄道旅行は、この人達のニーズには合いそうにないのである。

 一寸考えてみよう。

 退職前は、ともかく仕事に影響を与えない程度で旅行をするとの鉄則があった。
 従って、本人は感じていないかもしれないが、旅行先やその楽しみ方も、職場の仲間と大きく違うものはできる限り避けてきた筈である。要するに、旅行の選択肢は狭かったのである。
 ところが、退職でこの重しがとれる。
 嗜好は大きく変わるに違いない。

 よく言われるのが、退職金の一部を投入する豪華海外旅行の増加説。
 それはそうだろうが、一部の層だろう。この層に絞り込んだビジネスチャンスは、話としては面白いが、どうせ高級セグメントを狙うなら、仕事世代に目を向けて欲しいと思う。
 乗れない高級外車、行けない素敵な別荘、等を所有する高所得者は増えていくと思う。この人達には確実な国内超短期旅行ニーズがある。この層の旺盛な消費を誘えば、経済発展に繋がると思うのだが。

 話が外れた。元にもどそう。

 退職後の人達は、疲れないで、のんびりした旅行を好むようになるのではないか。
 そうなると、パターンは2つに分かれると思う。
 気楽に楽しむ数日の旅行と、長期旅行である。

 前者の旅行だと、首都圏の人にとっては、東京から3時間程度で行けて、交通費総額が3万円内に収まり、廉価な平日に数日間宿泊するパターンが一番有難いのではないだろうか。
 いくら安くても、往復に費やす時間が長い短期の海外旅行は敬遠されると思う。

 この程度の旅行なら、予算の都合さえつけば、お気軽に行けるから、魅力的な商品が提供されれば流行りそうだ。
 ところが、この要求に応える商品は、目立たないが、実は、すでに存在している。航空券とお好みの施設での宿泊をセットにした国内パッケージ旅行だ。
 これから有望な商品と見ているのだが。

 もしも、こんな流れが奔流になれば、運賃割高感がある鉄道での遠距離旅行は激減しかねまい。
 鉄道旅行は、限られた、近場の便利な地域に限られていくことになる。

 こんな読みが通用しそうなら、早めに観光振興策を打てばかなりの効果が期待できる。

 と考えるのは、日本各地に、立派な飛行場があるからだ。しかし、運賃が高いから、利用率は今一歩のところが多い。これを活用すればよいのである。
 実質2〜3万円程度の往復運賃のパック旅行を設定し、大勢の観光客を呼び込もうとの作戦を展開するだけのことである。

 言うまでもないが、観光産業は地域間の競争でもある。このようなパック旅行が流行始めたら、交通費が割高につく地域は、特別なウリが無ければ、顧客は奪われる一方だろう。
 先手必勝だと思う。


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