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2007年4月16日
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産業観光の時代…

 度肝を抜かれるという言葉があるが、「宮殿工場」(1)というコンセプトはこれが当てはまりそうだ。

 売上615億円の混合調味料の会社(非上場)が、2006年に今治市に完成させた立派な工場のことである。ウィーンのベルベデーレ宮殿をモチーフとした巨大な建造物と手入れが行き届いた庭園からなる施設だ。
 創業35周年記念事業で、総工費は85億円だそうだ。(2)
 創業30周年記念として、本社ビルを建てたばかりだが、引き続いて工場を建て、周辺一帯を公園化して、観光拠点化する目論見のようだ。

 焼肉のタレという大衆商品に「晩餐館」と名付け、キャラクター牛のぬいぐるみを登場させ、“押しの強い”TV宣伝を徹底的に流していたから、ともかく目立つことで一世風靡させようと考えていると誤解していた。

 中世ヨーロッパの宮殿での晩餐会の思潮を打ち出そうという経営者の想いが貫かれているそうだ。

 小生は一度もこのタレを購入したことはないが、おそらく外食ではそれと知らずに何回か食べているのだろう。
 業務用のタレと唐揚げ粉の市場では、細かな開発を行うと共に、コンサルテーション営業を武器として、競合を圧倒していると言われている。(3)

 と言うか、「調味料」という誰でもが語れても、なかなか既存の科学技術だけで最適化が図れない分野で、社員が、一芸に秀でるべく頑張っていることが、競争力の根源なのだと思われる。

 話は変わるが、これだけの施設が今治駅からタクシーで10分という便利な場所にできたのだから、今治の観光案内に早速登場してもよさそうなものだが、そうはならない。(4)
 紹介されているのは、今治城や四国霊場札所といった定番モノ以外は、どの地域に行ってもあるような観光物産館・地場産プラザや、住民が喜ぶような森・ため池・花壇がある公園だ。

 観光業とは、お客さんを呼び込むことから始まる。
 ところが、今治は岡山や広島から2時間以上かかる地。琴線に触れるようなものがない限り、そう簡単に来訪者が増えるとは思えまい。色々挑戦して見るしかない。
 にもかかわらず、せっかくの動きがあっても、それを利用しようとしない。 宮殿工場だけでなく、こうした自治体の姿勢にも大いに驚かされた。
  → 「産業観光・食の生涯学習」 (C) 日本食研

 --- 参照 ---
(1) http://www.nihonshokken.co.jp/kokyudenkoujou/index.html
(2) http://www.nissyoku.co.jp/kojocho/pickup_box/pickup0612_kyuden/pickup_0612_kyuden.html
(3) http://irc.iyobank.co.jp/topics/close-up/no056.htm
(4) http://www.go-shimanami.jp/shisetsu/imabari/index.html


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