■■■■■ 2010.11.11 ■■■■■

 MacBook Airの新モデルを眺めて

 2010年10月、MacBook Airの新モデルが登場。価格が88,800円からで、多少の高級感を漂わせてきたApple製品にしては廉価な感じがする製品である。
 経済低迷の時代に合わせたということかも知れないが、結構示唆に富む仕様なので、取り上げてみたくなった。

 なにが一番の特徴かといえば、“一見”たいした進歩を感じさせない点。換言すれば、所謂Macファンがワクワクして跳び付く商品とは言い難いということ。まあ、常識的には、iPhoneやiPodを購入したWindowsパソコン使用者向けモバイルパソコンという位置付けでは。
  2008年1月の初代機種の仕様と比較してみようか。
   ・CPUのタイプはIntel Core 2 Duo(モバイル向)で同じ。
   ・詳細は調べていないが、クロックは1.6GHzが1.4GHzに変更。
   ・連続使用時間は5時間で同じ。(出張には7〜8時間必要。)
   ・SDRAM容量は2GBで同じ。
   ・“フラッシュストレージ”容量は64GBで同じ。(初代はオプション。) 

 ただ、モバイル用として、ようやく、当たり前の重さで、どこでも見かけるB5ファイルサイズを製品ラインに揃えたと言うことにはなる。それはディスプレーサイズを13.3インチから11.6インチへと一回り小さくしたからにすぎないが。
   ・1.36kgから1.06kgへと軽くなった。
   ・最大厚みが19.4mmから17mm。超薄部分もあり薄くした印象は与える。
   ・32.5x22.7cmから29.95x19.2cmと1割程度小さくした。
   ・通常幅キーボードは維持。ただ、縦は若干圧縮したようだ。(Fnキーは小型。)
 光学ドライブ非搭載で、外部とは無線接続とする基本方針は貫かれているが、USBは2ポートと増えた。

 連続使用時間は5時間のままだし、CPUのグレードアップもない。実に、凡庸なモデルチェンジに映る。しかし、実質的な処理能力は、使えばすぐに実感できるほど向上したらしいのである。まあ、すぐわかるのは起動の早さ。仕様的には確かに高速化しているが、それほど目立たつような変化ではないのが不思議。
   ・メモリモジュールを、 転送速度規格5.333GB/秒タイプから8.533GB/秒へ変更。
   ・“フラッシュストレージ”接続方式をPATAからSATA(AHCI対応)に変更。
 だが、おそらく、これ以上に大きく影響したのはOSの改良だと思う。“フラッシュストレージ”のデータ書き換えの高速化を図った可能性は高い。Windowsと違い利用製品は限られており、このような対処がすぐにできるからだ。もしそうだとすれば、ディスプレーに関しても、OSレベルで対応していくことになるのかも。(ハードの要素技術進歩が緩慢になると読んでいることになる。)

 それはともかく、これからのモバイルパソコンは、9.7インチのiPadのような“16:12”(=“4:3”)系列ではなく、ワイド画面でということのようだ。[尚、iPod touchは3.5インチで960×640で“15:10”(=“3:2”)と中途半端だが。]
 13.3インチ品は1,280×800から1,440×900(“16:10”)と高精細化し、新登場11.6インチは1,366×768(“16:9”)。尚、新モデルの3.3インチ品は1,280×800。ちなみに、規格は以下のような流れでは。
  【黎明期の“4:3”】 640×480[VGA] → 800×600[SVGA]
  【XGA型】 1,024×768[XGA] → 1,152×864 → 1.280×960 → 1,600×1,200[UXGA]
  【1,280系列】 600 ← 720[“16:9”] ← 768[WXGA] → 960 → 1,024[SXGA]
  【“16:10”】 ☆1,280×800 → ★1,440×900
  【デスク用“16:10”大型化】   → 1,920×1,200 → 2,560×1,600 → 5,120×3,200
  【“16:9”】 1,280×720、★1,366×768[低価格薄型Windowsノートでも多用]
 モバイル環境下、ワイド画面で動画を十分堪能できることが重要と考えているということだろう。この辺りの仕様は格段に強化されている。
   ・グラフィックスプロセッサをIntel GMA X3100から、Nvidia GeForce 320Mに変更。
   ・VRAMメモリを144MBから256MBに増強。(メインと共用)
   ・内臓スピーカーをモノラルからステレオに変更。

 こうして、ざっと見て感じたのは、頻繁にキーボード入力するような人用の1KgのB5ノートというジャンルで考えると、価格競争力がある商品だという点。
 このことは、B5ノート型パソコンは人々に不可欠と見たことを意味しそう。価格政策からみて、コモディティ化すると考えていそうだし、このジャンルで熾烈な競争が始まるのかも。

【参照】 PC Watch [2010]年10月26日]
矢作晃: “MacBook Air、2機種レビュー 〜Macユーザー待望の1.06kg/11.6型も登場 ”

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