2010年の晩秋は熊だらけの様相。
北安曇郡松川村の村営温泉施設には母子熊が出没。ひどく痩せていたという。
米原市の住宅近辺で二匹の子連れ熊が徘徊。伊那市ますみヶ丘公民館近隣のスギ林で茂みから登場。松本平では目撃頻発。高島市新旭町になると連日。富山市天文台にも出没。次々と似たようなニューズが続いた。
今年は猛暑だったから、本州ではドングリが早く落実し、熊君の食料が不足し始めたということか。もともと、ナラの木が枯れてきたと語る人も多かったから、その影響がいよいよ深刻になってきたのかも。
それはそうなのだろうが、皇居前ビルの自動ドアから狸君が入ってくるご時世だから、野生動物もヒトと棲み分けることが無理になってきたと解釈するのが妥当な感じがする。
大昔から、ヒトと熊は互いに親しみをもって生きてきた。狩猟の対象であり、恐ろしい相手ではあったが、愛すべき対象でもあった。・・・などと真面目な話をする気はない。美しく着飾ったペットが闊歩する街に住んでいる身だから。
こう言ってはなんだが、熊君は、実に面白い動物である。
そう思ったのは、2003年10月のニュースを思い出したから。
早朝、一関市にある県立磐井病院に熊が自動ドアの正面玄関から入ってきたのである。1m位の大きさで推定体重100Kg。結構な巨体だが、待合室を通り、曲がる拍子に床で滑って転び、非常口を突き破って出て行ったのである。目撃者はいるが、ヒトに危害を与えた訳ではない。
もちろん、その後の熊の消息は不明である。ただ、病院では対処マニュアルを作成したそうである。退治薬もあるとか。
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県立磐井病院外科 大江洋文: “フィールドでの医学 クマ” 「大地」 [2004年]
実は、この病院、小生もお見舞いで訪れたことがある。都会のなかにあり、山からどうやって、こんなところまでわざわざやってくるのかなんとも不思議。
“岩手のクマは人懐こいというか、建物に入るのをなんとも思わない”そうだが、それにしても何のために。
地元では、喰い過ぎで胃腸薬を貰いに来たんではなかんべか、と言われているに違いないが。
熊被害でエライ目に合っている方も大勢いるのだろうが、都会の住人にしてみれば、実に親しみが湧く動物である。
他人の家に遊びに行くのを愉しみとしている可能性もなきにしもあらず・・・。
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“A Bear in a Barrel is Worth 2 In a Bush.”【写真】@Colorado Springs
(C) Kelly's Animal Hospital