中東イスラム圏を一瞥。トルコの指導者は世界の流れを良く見ているようだ。真剣勝負で臨んでいるということ。
中東大戦争は避け難いと見ているかも知れぬが、なんとか止めるべく動いているのはこの国だけかも。
ともかく、イスラエル国内の状況を見る限り、戦争回避は望み薄。
一方、イランはGCCとの交易が細り、経済的に追い詰められていそう。国粋主義化が進んで、危険な状態になるのではないか。
ここまで来れば、そのうち地域内で火蓋が切り落とされる。それをじっと待っている大国がいそうだ。それを薄々感じているから、各国とも、どう生き残るか必死に動いている。しかし、そのベクトルはバラバラ。互いに、相手の懐に手を突っ込むようなことをしているから、全体としては不安定化に邁進といったところ。
日本政府には、中東戦乱勃発時の対処シナリオがあるのだろうか。
●地理的には西アジア=繁栄するNATOメンバー(欧州国家)●
〜トルコ〜
政治的安定/経済好調→地域大国化路線で邁進
●マグレブ東側=賞味期限切れの独裁国●
〜チュニジア〜
1987年以来の独裁体制の制度疲労→反体制運動表面化
≫“Trouble in Tunisia” al jazeerah
尚、隣国アルジェリアでは食糧暴動勃発
〜リビア〜
カダフィ独裁下での後継者問題→権力闘争勃発
●アデン湾-紅海諸国=武器輸送ルートの戦乱国群●
〜イエメン〜
中央政府と部族間の対立激化→部族間戦乱に転化し米国介入
〜スーダン〜
実質的2国家化→海外勢力の内政関与・内乱再発
〜ソマリア〜
無政府状態→どうにもなるまい
〜エリトリア(エチオピアから独立)〜
エチオピア・ソマリア国境の常時緊張状況
≫“WikiLeaks、アメリカがエチオピアにソマリアを侵攻させたと暴露”
駐日エリトリア国大使館[2010年12月9日]
〜ポツンと親欧米国=ジブチ〜
仏・米・日の海軍基地
●地中海東端=一触即発状態の火薬庫●
〜シリア〜
軍備増強完了→イスラエルとの戦争回避を図るも奏功望み薄
〜レバノン〜
ヒズボラの戦争準備体制完了→親西欧政権弱体化で内乱発生
〜パレスチナ(ヨルダン川西岸)〜
ファタハ資金難で分裂傾向→名目的攻撃路線化とハマス活性化
〜パレスチナ(ガザ)〜
ハマス支配貫徹→イスラエル国内での破壊活動準備
〜イスラエル〜
政治的超不安定化→軍事独裁・冒険主義的路線の選択
●アラビア湾岸=米国の傘の下での綱渡りに徹するスンニ派アラブ連合●
〜GCC〜
イラン友好外交の動揺→地域安定性喪失
・サウジアラビア
民主化運動+シーア派胎動→原理主義や近代主義勢力の過激化
・バーレーン
多数住民シーア派の徹底弾圧→イランと対立
・UAE(シーア派住民多数の首長国過半)
首長死去+シーア派自己主張→不安定化
-アブダビ:親イスラエル政策
-ドバイ:経済悪化・イラン制裁で中継貿易都市構想破綻
・カタール、クエート
シーア派住民運動→イラン関係緊張
・オマーン
EU・米・イランの等距離外交→貴重な緩衝役での経済繁栄
〜エジプト〜
大統領引退間近・治安悪化→政争活発化に伴う中東外交力衰退
〜ヨルダン〜
イスラエル入植拡大阻止運動→原理主義運動活性化で王権危機
●古代文化の地=混乱収まらぬかつてのアラブ大国●
〜イラク〜
難航した中央政府樹立には成功→米軍撤退後の3派内乱リスク
・シーア派+スンニ派地区
宗教対立扇動目的のテロ増大→反米/反サウジ化への傾斜
・クルド民族地区
石油収入による経済繁栄→自治強化への動き
●ペルシア=経済制裁で混迷するシーア派の非アラブ大国●
〜イラン〜
経済低迷・国粋主義高揚→保守派内宗教セクトの熾烈な分裂抗争