■■■■■ 2011.3.10 ■■■■■

 インド洋は海賊だらけ。日本に打つ手なし。

 海賊話がとびかっている。どうせ、論点がバラバラだろうから、見出し以外見ていない。何が議論されているのか知らないが、政府も状況をようやく知らせる気になったということか。

 簡単に言えば、2009年の「海賊対処法」はほとんど意味がなくなってしまったということ。この問題にかかわらず、世界の変化は加速されており、日本はその速度にまったく合っていない。

 今の海賊は、ロケット砲装備の高速艇で出没したりするのである。奪った漁船を使って突如発砲もありうる。そんな相手に放水銃で対応するような対処を要請されている艦艇が対処できる訳がなかろう。件数にしても、2011年の最初の2ヶ月ですでに61件発生と完璧に日常化。
 しかも、出没範囲は紅海-アデン湾(エリトリア-ソマリア-イエメン)とイエメンのインド洋側に留まってはいない。ケニヤ-タンザニア沿岸から、セイシェル、さらにはインド近辺までと領域は拡大一途。確か、モンバサ沖だったと思うが、その日本船ハイジャックも未解決。この状態で、はたして、アフリカ東海岸への日本船籍運行ができるのものかね。
 マイナーな貿易相手だし、人質船員が邦人でないから、日本政府もマスコミをずっと知らん顔を決め込んできたということ。

 なにせ、今の国際協調警備体制を倍増してもやっとどうやら状態にしかならないらしい。大変な状況である。(Robert Wright: "Shipping: Boarders to control" Finantial Times March 1 2011)
 そこにきて中東大動乱の可能性まで浮上してきた。これはたまらぬ。

 海賊出没と言えば、一昔前は中国沿岸とマラッカ海峡だった。
 前者は共産党より古くから根付いている黒社会の仕業。簡単に言えば船舶の強奪屋である。今、どうなっているのかさっぱりわからぬが、無くなることはなかろう。普段は漁民兼業だろうか。
 後者はまあ強盗のようなもの。陸でもやっているのだから、海だけ無い訳がなかろう。東南アジアの島嶼はもとから海賊だらけ。混雑を避けて夜半にボケーと停泊していたりすると忍び込まれたりするのは昔からだろう。手口は色々だが、普通は船員の金品目当て。下手に要求すると、報復を受け大損だから。
 それを気にしないのは資金かせぎの反政府勢力だけ。だが、地域全体の政治情勢が安定してくれば下火になる。

 インド洋はこの手の流れとは全く違う。
 歴史的には、インド大陸東南沿岸発祥ではないか。東アジアと違い、もっぱら船舶装備品の強奪屋である。無数にある小規模廃船解体業者とその資材を使う造船業者のインフラ産業と言われてきた。バラバラで組織だってはいないが、立派な産業。
 アフリカにもインド勢力は浸透したに違いなく、それがアフリカ的に進化したようだ。
 どの国も部族社会で抗争だらけだからだ。武器は溢れかえっており、誰が考えても、一番手っ取り早く儲け話は海賊業。もともとは沖合漁業が産業だったのだろうが、中国船等の根こそぎ漁法がやってくれば商売あがったり。転業だらけでは。そして、今や成長産業。
 こうなると、日本は、手の出しようがない。

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