連休に東京を脱出していたので、首都圏外の大手スーパーの食料品コーナーをしばしば眺めることになった。お陰で、売り場の劣化が気になった。
顧客数は減少一途の筈だし、客単価も落ちているに違いないが、維持費用は増えていそうだし、売上確保のために競争費用を大幅につぎ込んでいそうだから、撤退を避けるにはその道しか無いということなのだろう。普通に考えれば、小売産業の合理化というか、新陳代謝に歩を進めるべきだが、それができない社会だから致し方ない。
どう映ったか書いておこう。
--- 魅力ある生鮮商品見つからず。
今までも、徐々に進行していたが、ついに来るところまで来た感じ。
(その1) 果物の質の悪さ
大量入荷品の特売中だった。普通は、旬に、果物入荷が殺到するので、美味しくて安価となる。「安かろう、良かろう」が通用する世界の筈だが、そうではなかった。とても食べる気にならないほどひどかった。しかたがないので煮物にしたから、それなりのレベルにはなったが。低品質の果実を売らないと、やっていけないのだろう。
(その2) 秋刀魚以外の鮮度の低さ
秋刀魚は豊漁だから、廉価でいかにも新鮮なものが豊富。ところが、それ以外がひどい状況。刺身用とされてはいるが、目を見れば売れ残りの翌日回し品としか思えないような代物が並ぶ。こんな魚を平然と売るしか無いのだろう。
(その3) まともな一尾魚がない
一尾ものは、大きいものが少数。二人で食べるのに手頃な鮮魚は無い。売り場を占める魚といえば、もっぱら刺身と切り身。それも年中ならぶ定番品のみ。どうしても一尾ものが欲しいなら、魚卸の小売店で買うしかないようだ。そのお店も、種類は年々減少一途。
(その4) 塊肉は特殊品
牛肉も豚肉も、切り分けたパック品ばかり並んでいる。塊は、時々店頭に並べるだけなのだと。必要な人は、肉屋に行けということか。一方で、肉の加工品は様々なブランドが並ぶ。何がなにやら。
(その5) 欲しい野菜は欠品だったり
基本野菜を廉価に見せて売ることに熱心なようで、そこから外れると売り切れ中か、買う気がしないような低鮮度品だったりする。
--- 価格政策が滅茶苦茶。
一貫性なく、場当たり的。
(その1) 得体の知れぬ安売りだらけ
値段がよく変わる。バーゲン期間だったのかも知れぬが、時々、値引き販売するものらしい。目的はよくわからない。
(その2) 都会より、工業製品が安いことはさなそう
東京港区は小売価格が高いと言われているが、それより高価格の商品は少なくない。廉価ポップ表示でも、まだ高いので驚かされる。
(その3) 極く一部の工業製品が矢鱈と安価だったりする
原価割れに映る価格だが、メーカーの新製品的な販促とは思えない。古典的な、目玉商品による客寄せならわかるが、そんな効果がありそうにも思えない商品での話。
(その4) 顧客囲い込みの仕組みだらけ
なんだかわからぬ各種カードや、クーポンの宣伝が目立つ。非利用者は、その膨大な費用を負担させられている訳だ。
(その5) 単価上昇や品質低下品が益々増えている
98円表示が目立つ。量目を減らしただけのものもあり、単価があがっているから、購入者に何のメリットがあるのか訳のわからない商品も。
(その6) 意図的に高価にしたと思える商品も少なくない
良く知られている商品で、東京より3割以上高い値段が付いていたりする。回転率が悪い商品ではなさそうだが。
内食の流れが強まっているそうだが、こうした状況を見ると、量的には増えていても、質的には悪化していそうだ。