■■■■■ 2011.10.8 ■■■■■

 被爆の影響度は自分の頭で判断するしかない

ニュースの見出しに放射線被爆の話が毎日並ぶが、小生は、本文は滅多に読まない。
と言うのは、原発爆発報道が余りに恣意的で懲りたから。もっとも、経済紙の記事だけは視点が違うから、目を通すことが多いが。
だが、発電所の爆発で生活が一変してしまった人にとっては、そんな姿勢は腹立たしく感じるかも知れぬ。
そこで、一寸書いてみた。

まず、日本の専門家の「健康への影響」の話が引用されていたら、そのまま信用するのは考えモノ。素人判断とたいして変わらないと見た方がよいと思う。どの科学技術分野であろうが、専門家とは自分の担当している領域に関するプロでしかなく、普通、それは狭い範囲に限られる。そこからすこしでも外れれば、浅い理解での発言になってしまう。「思い込み」で述べている可能性が高い。従って、そんな意見を鵜呑みにすべきでなかろう。

こういう時、役に立つのは、異分野の理工系学者の意見。ただ、自分の専門領域で「独自な仮説を提起している」方でないと駄目。こういう方だと、開示データをどう位置付けたか、そして、それをどのように意味付けたか、正直に語ってくれる。従って、その話を聴くだけで大いに参考になる。もちろん、結論ではなく、その思考プロセスを知ることに価値がある。ただ、残念なことに、日本ではこの手の意見は滅多に耳にできない。
ちなみに、日本の社会科学系学者だが、ギルド社会の住人であることが多く、その発言にはほとんどの場合思惑が絡む。素人にそれが読める筈はなく、参考にしないが無難。

それはともかく、低線量被爆の影響については、まだよくわかっていないという見方が、常識的なところ。 しかし、なんらかの判断を下さなければならない。従って、人の尻馬に乗らず、自分の頭で考えるしかない。
冷静に分析し、自分の直観を研ぎ澄ませるしかない。分析から妥当そうな結論は出せない状況下ということ。

ここで文を終えようと思ったが、これではなんのことやらとなるか。
素人の低線量被爆に関する考え方の一例でもあげておこうか。ポイント列挙方式。

基本的な見方・・・
・ 放射線被爆による遺伝子損傷は確実に癌細胞を生むが、その感受性にどの程度個人差があるのかは不明。
・ 人体内では、癌細胞が生まれると、防御機構が働くが、その力量の個人差も全くわかっていない。
・ 喫煙(タール物質)と日焼(紫外線)の例から見て、発癌影響度の個人差は大きそうだ。
・ リスクは低い方が望ましいが、社会生活安定の観点で、ある程度のリスクを容認する姿勢で臨むべきでは。
・ 低放射線量での被爆量と発癌リスクの相関は実験室的には明らかにされていない。
・ 疫学調査は存在するが、「ある特定条件下」のデータであり、読み方で結論が変わりかねない。
・ 健康に留意した生活を送ると、癌化を遅らせることはできそうである。

逆相関データを巡って・・・
・ 放射線照射による免疫賦活の作用機作仮説の論証は聞いたことがない。
・ 従って、ラドン・ラジウム鉱泉の効果はプラセボの可能性が高かろう。
・ 被爆を意識している健康志向層は、発癌率が低くなるのではないか。
・ 食を通じた体内取り込み放射能物質量が大きく効いてはいないか。
・ 被爆以外の要因が発癌原因で大きなウエイトを占めているのは間違いなさそう。

留意すべきは、核種による違い。
・ 地理的時間的な飛散状況は大きく異なる。
・ 取り込み易い生物があり、食物連鎖濃縮がありそう。
・ 飲食、呼吸により体内に取り込まれると、それぞれ特定部位に集中蓄積する。

・・・ここまで書けば、何に注意を払うべきかおわかりになるだろう。

そして、政治はマクロでしか対応できない点にご注意のほど。しかも、大多数の感情的な動きを思慮した施策を展開することになる。最大限の費用と労力を支払っていることを示すことが目的化しがち。そのため、リスク低減効果が薄い方向に走ってしまう可能性は高い。
実践性を考えず、ただただ原発の絶対安全性を要求すれば、実践性ある対処はできなくなる。似たようなことがおきなければよいが。

最後に、一応触れておくが、非直接被爆世代への影響という点でのリスクも存在する。この議論は避けた方がよかろう。


(C) 2011 RandDManagement.com    HOME  INDEX