■■■■■ 2011.10.23 ■■■■■

 TPPへの賛否をテコに、政党再編を実現して欲しい

谷垣自民党総裁が10月15日、TPPに関して、至極まともな発言。
「協議をしながら国策にかなうかどうか、日本の国益にかなうかどうかを判断していかなくてはならない」というもの。なかでもポイントは、「特に、この問題は、外交、安全保障といった観点からの検討も必要だと思います。」との指摘。

交渉参加は内閣の決断だけでよいのだから、当たり前だが、これだけのことで、民主党内ははや大騒動中。野党代表として、野田内閣に対し、とりあえず交渉参加に動けと指導したとも言えよう。まあ、助け舟のようなもの。
民主党議員もこれには驚いたようで、早速、21日には、212人の議員からなる「TPPを慎重に考える会」の110名が集まり参加反対の緊急決議。鳩山元総理、国民新党代表、社民党党首も出席。さらに、23日には、会長の山田正彦前農水相が妥協案は「ありません」と明確に言い切り、離党の可能性も否定しなかった。

当たり前だが、自民党内も大騒動。
ただ、そんなことはおそらく想定済みだろう。すでに人事を済ませているからだ。要するに、ボールは「外交・経済連携調査会」(高村正彦会長)と「農林水産物貿易調査会」(加藤紘一会長)に投げられる訳だ。
ただ、総裁がどこまで腹をくくっているかはわからない。盟友の公明党幹事長代行が「大きな流れとしては日本が生き残っていく上で、そういう方向性(で進めるべきだ)との認識はある」と発言したから、それなりの覚悟はできている可能性もあるが。

まあ、そうでなければ、この程度の発言もできかねよう。 なにせ、自民党内のTPP参加の即時撤回を求める会は、農業団体の請願に賛同する議員数が160名に達していると発表している。反対者はすでに自民党国会議員の過半を超えたと豪語している訳だ。
この状態で、議論に参加すべしとの発言はご立派。
当然の反応として、20日の会合では、総裁がTPP賛成を打ち出したような報道に対応すべしということで、"自民党はTPP反対を明確に打ち出すべき、と怒号"が飛び交った模様。
即時撤回を求める会事務局長の発言が秀逸。・・・「今日はいい会議だったと思う。一つの転機ではないか。」
さらに、「TPPの問題は、党が割れてもいいぐらいの問題」であり、「自民党をつぶすことになってもいい」し、「いまこそ政治決断の時」だとの声も。

いやー、この動き、大歓迎したい。

是非とも自民党には大分裂してもらいたい。TPP問題は、単純な貿易問題ではなく、安全保障が絡む日本のこれからの進路を決める大事な決定になりそうだから。
もちろん、民主党も割れて、TPP賛成派と反対派で再編だ。こうなれば、言うこと無し。

そろそろ、どちらの道を選ぶか、はっきりさせた方がよかろう。
日本の生命線を守れと称して、鬼畜米英路線を採用しで世界大戦に持ち込んだ頃とほとんど同じ発想の人達と、それに懲りた人達のどちらが主導権をとるかということ。まさに結節点。
悪夢の時代を迎えたい人の方が多いなら、それはそれで致し方なかろう。それが民度。

グズグズと決断を先延ばし、誤魔化していてもどうにもなるまい。
政党再編を実現し、TPP参加か否かをテーマに、衆議院解散で新規まき直しを図って欲しいものだ。

(ref.)
「TPP:「交渉参加し、判断するべきだ」…谷垣総裁」 毎日新聞 2011年10月15日
「TPP、参加表明反対の緊急決議 民主党の「TPPを慎重に考える会」」  農協新聞 (2011.10.21
「「協議しないでよいか」 自民・谷垣氏が前向き」 産経新聞 2011.10.15
TPP参加の即時撤回を求める会 公式ブログ 2011年10月21日
(付記)
クリントン構想は知っておいた方がよい。"America's Pacific Century" FP NOVEMBER 2011 http://www.foreignpolicy.com/articles/2011/10/11/americas_pacific_century


(C) 2011 RandDManagement.com    HOME  INDEX