■■■■■ 2011.11.8 ■■■■■

  ギリギリになって次期戦闘機選択が大乱戦

F35を日本の次世代戦闘機に選定させようとの動きが急なようだ。年初には、開発コストを考えれば、信じがたいような安価な価格をメディアに流したりしていたが、今度は、インドにまで売り込みとの情報を流したりしているようだ。
そして、ついには、国是と言っていたにもかかわらず、生産技術を全面的に日本側に公開する用意があるとまで言い出した模様。 米国政府の財務状況を考えれば、必死の売り込みも当然ではあるが。

まあ、すべての部品を輸入するような機種は、安全保障上落選候補以外のなにものでもない。政治的圧力で売り込もうという手が効かないことがわかったということでもあろう。ハリネズミ路線なら魅力的に映る超高価な最先端機種が候補から除外されれば、開発途上機イメージが強いF35を避け、「つなぎ」機種選定が妥当なところだし。

言い換えれば、現在の選択肢では、ステルス性能差にはたいした意味が無いということでもある。

そもそも、素人か見れば、アンチ・ステルス技術に分がある。それに、中国やロシアがいくら自称ステルス機を誇示したところで、最先端レーダー技術を確保していない状態なのだから、検証自体できまい。米欧軍機の力量とは比較以前の状況と考えるのが自然。
狭い国土でのハリネズミ路線で行くつもりなら、ステルス性のレベルはたいした意味が無いということ。重要なのは、どれだけ量的・面的に実戦配備できるかと現実的な操縦性の方だろう。しかも、日本企業はステルス機の生産・補修技術が無いのだから、技術が入手できない機種に意味は薄い。

それに、安価な無人攻撃機が極めて実用的であることが、アフガニスタン、パキスタン、リビアでの戦闘で判明してしまった。今や、空中戦闘を除けば、高度なステルス性は不要と言えるかも。

ともあれ、機種選択で、現内閣の世界観が見えてくる。民主党は米国からの自立派が多く、しかも非現実的な安全保障論者だらけだが、自称真性保守の首相がどう判断するのか見もの。
と言うか、世界観が披瀝されないまま、勝手に日本の針路を決められてしまうのである。従前の「惰性」政治を続ける可能性が一番高い訳ではあるが。

(アンチステルス技術優位との考え方について・・・素人流)
ステルス技術とは、電磁波を吸収したり乱反射させることで、反射派を受信させないというだけのもの。この類の技術は、古くから商業利用されている。その基本は、電波吸収材塗布と、反射方向をバラつかせるための物体表面の曲面化だと思われる。言うまでもないが、どの程度が妥当かは、レーダー側の技術で決まる。・・・鼬ゴッコ的開発と言えよう。
要するに、高度なレーダー開発は、ハイテク技術がありさえすれば、お金をかければ可能ということ。レーダー波の発射と反射派受信を同一地点で行う方式に加え、異なる地点でその乱反射波を同時受信できるようにすれば、原理的に、ステルス物体の存在を推定することはできるというだけの話。


(ref.)
「米ロッキード・マーティン 「F35」 生産技術を日本に全面公開−次期「 FX 」選定」 日刊工業新聞 2011年11月6日
「次期戦闘機 各国の売り込み活発に」 NHK 11月4日
「三つ巴 FX」 朝雲新聞 11/3
当サイト:「新政権の緊要課題は日米安全保障体制再構築」 2011.9.11


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