■■■■■ 2011.11.27 ■■■■■

  大阪ダブル選挙結果を見て

橋下前府知事が率いる大阪維新の会大勝利。民主党が自民、共産両党と相乗りで対立候補を支援したが全く勝負にならず。
マスコミによれば、大阪ダブル選挙の争点は「都」構想。"府と両市の二重行政を解消し、行政運営の効率化を図るのが狙い"だという。
首府に住む人間から見ると、これは単なるスローガンでしかなく、惰性政治を続けるか否かというのが真の争点に映る。従って、当然の結果だと思う。低迷する経済状況からの脱出の糸口が全く見えない状態だから、なんでもよいから劇的に変えてくれということでは。
是非とも、大阪で維新を実現し日本経済発展の機関車になって欲しいもの。

ただ、制度を変えたからといって、この閉塞状況を突破できるとは思えない。
「都」への再編だけなら、それは、東京都の制度のモノ真似でしかないからだ。外から見る限り、大阪経済の低迷や、自治体の財政状況が、制度不全のために発生しているとは思えないということ。

それに、東京は「都」という制度が奏功して繁栄した訳ではなさそうだし。
なにせ、反企業精神を振り撒く首長が長期に渡って存在した時期もあったのだ。まさに、その時代は、効率的にその方針が貫徹されたのである。それがどれだけ事業推進の桎梏になったかはいわずもがな。しかし、そんな障害などものともせず、様々な産業が集積続け、経済発展は止まらなかったのである。これぞ大都市の特質そのもの。

大阪も、もともとは、そうした大都市だった筈。それが、どうしたことか、その息吹を失ってしまったのである。その結果、東京に負けるなとの対抗意識だけが残っている感じがする。「都」構想などその最たるものに映るのである。
ここにこそ大阪の問題があるとはいえまいか。 それは、東京の二番煎じを追求しているにすぎないからだ。・・・モノ真似「銀座」作りが嬉しい地方発想とどこが違うのか。ご存知のように地方の「銀座」通りは都会の雰囲気を醸しだしたりはするが、そこには都市感覚はゼロというか、それはご法度なのだ。ほとんどの場合は閉鎖的な地場事業の衣替えでしかない。
日本の地力は落ちてしまったから、この手の地方「銀座」が繁栄する時代はもう過去のものではないのか。しかし、地方は未だに同じことの繰り返し。今は、ショッピングモールを核とする複合施設作りにご執心。ミクロでの繁栄はありえるが、こうした取り組みが地域全体の競争力向上に繋がるもことはない。モノ真似だからだ。
自分達で新しい流れを作り出さない限り、沈没必至というのが今の時代なのでは。
大阪も含め、地方はこうした流れを嫌っているとしか思えない。

と言ってもわかりにくいか。
誤解を恐れず言えば、神戸や京都は、人口が東京ほどの規模ではないだけで、明らかに都市。
これに対して、大阪は人口が多いが、都市になりきれていないのでは、というだけの話。東京で言えば、周辺県の非都市部に似ている。都会的雰囲気だが、産業発展の原動力を欠くので、税収増は望み薄。ところが人口が多く高齢化が進むため行政負担は桁違いに大きい。実につらい地域である。大阪はそうした地区の代表では。
要するに、大阪は都市に脱皮する必要があるということ。先ずは、風土を変える切欠を作らねば。だが、「都」制度がその役割を果たせるものだろうか。そうでないとしたら、もう一工夫必要ということ。

解説不要だと思うが、都市とは多才な人達が喜んで集まってくるところ。だからこそ、様々な知恵が生まれるのである。従って、大阪がそういう状態になっていないなら、そんな人達を集める魅力を再構築することから始めるべきだと思う。
そして、新しいことを始めようとの蠢きがそこここで生まれているか、確認すること。もしも、そんな息吹が感じられないとしたら、重症である。何が障害なのか考える必要があろう。
このどちらも、「都」制度にすれば解決できるとは思えない課題である。

(ref.)
「ダブル選、27日投開票=争点は「都」構想―大阪 」 時事通信 2011/11/26
「野田政権に痛手=有権者が政党不信−大阪ダブル選」 時事通信 2011/11/27


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