■■■■■ 2011.11.29 ■■■■■

  ズブの素人の本命予測はGingrich

ABCテレビのニュースによれば、米国大統領選共和党候補にNewt Gingrichの名前が急浮上してきたそうだ。スキャンダルで叩かれ易い候補だし、過去の人でしかない、と言った調子で、無視され続けてきたのだが。

だが、素人から見れば、当初から、オバマ対抗の本命馬に映った。
その理由は単純。潮流にピタリと当てはまるからだ。

先ずは、中間選挙結果。
共和党に取り込まれたT.P.の大躍進がそのハイライト。この流れは小さな政府志向のNewt Gingrich的思想と共通基盤あり。
しかも、その後、民主党左派的風合いを醸しだすO.W.J.が勃興。こちらの運動の根底は、「税金投入で大いに潤った輩」への怒り。表面的には金融界への反撥だが、甘い汁を吸わせたオバマ政権の不甲斐なさへの不満が満ち溢れているのは間違いないところ。
このような感覚が世間に広まっているとしたら、Newt Gingrich的思想はドンピシャ。

その上、オバマ大統領の大失敗をはっきりさせる候補でもある。不評の皆保険制度に真っ向から異を唱えるという話ではない。
オバマ流の、分裂した社会を統合するという美しい虚構を木っ端微塵に叩ける、ドロドロした政治感を打ち出せる人という点が有利に働く可能性が高いのである。今や、議会は完璧に合意形成能力を失っているし、オバマ政権下では有力企業は国内投資に走るつもりはなさそう。
つまり、対立解消どころか対立が先鋭化してしまったのだ。こうなれば、第三極が生まれるか、共和党の本流に任すかという話になってもおかしくない。その観点では、Gingrichの出番は極く自然。

なにせ、この人、根っからの政府干渉反対論者。おそらく、10年前の見方は今でも変わってはいまい。
・地方分権化、市場経済化が進む。
・個人の自由と選択の機会が増加する。
・政府の干渉が減る。---そして生産性があがる。

ただ、最有力になれると感じさせたのは、そんなことではなく、オバマ陣営の姿勢の方。
早くから、共和党の対抗馬をMitt Romneyと見なすとの報道が多かったからである。
当然ながら、マスコミの記事は民主党側の宣伝が絡んでいる筈。・・・共和党には適格者は少なく、混迷を極める。結局のところ、マネジメント能力に秀でたRomneyに落ち着く以外に手は無いと主張しているようなもの。
共和党はそんな状態なのだから、大統領はオバマしかなかろう、と呼びかけているということ。

確かに、共和党の候補者選びは迷走中。しかし、共和党の当事者から見れば、それはマイナスとは限るまい。候補者選択を長引かせ、反オバマ勢力をまとめる画策がし易くなるとも言えるからだ。
実際、そうでもしないと、すでに巨額の選挙資金を財界から集めているオバマ陣営に完敗だろう。
従って、この先、巨額な選挙資金を集められる候補がどうしても必要なのである。しかも、オバマの弱みを突ける資質も必要だ。

そう考えると、Mitt Romneyではえらく不味かろう。モルモン教徒なので、レーガンやブッシュのように宗教勢力を束ねて、巨額な資金を集めることは不可能に近いからだ。
米国の宗教の状況はよく知らないが、昔と相当違っている筈。3流派が人口シェアで各々2割強程度で拮抗している可能性もあるのでは。
 ○旧主流派・・・伝統的プロテスタント
 ○新主流派・・・原理主義的プロテスタント
 ○新入(旧反主流)・・・カソリック
例えば、ブッシュは原理主義的なエバンジェリストだったからこそ、勝てたと言えそうだし、逆に、オバマは上記から離れた少数派宗教だったから、対立を克服できる清新イメージを打ち出せたのでは。少数派のシェアは伸びているに違いないが、多分1割というところかな。
 ○少数派・・・黒人教会
上記以外の宗派は、そのシェアが数%にも達していまい。米国は建前は世俗国家だが、宗教シーンは政治に組み込まれており、倫理観の違いから生まれる政治的対立は激しいものがある。亜流の宗派の候補が、主流宗派に広く受け入れられる素地はないのでは。
 ○亜流・・・モルモン教、ユダヤ教
Steve Jobsが仏教徒だったりするから宗教的多様性があるように見えるが、その他の宗教はどれも人口の1%を越えるほどの力は無いように見える。
 ○その他の宗教・・・仏教、イスラム教、(無神論者)
尚、話はとぶが、無宗教と言っても、プリンシプルがある無神論者に対しては寛容な社会だと思う。しかし、曖昧な無宗教者は反社会的な存在と見なされるかも。世界が不安的な様相を示している時は概して宗教的な流れが強まるもの。敵と見なせば一致団結して容赦しない国民性がありそうだから、異端と見なされないように注意すべきだろう。
 ○異端・・・カルト、曖昧な無宗教

(当サイトの過去記載)
「米国中間選挙後の報道を眺めて」 2010.11.10
「ニュート・ギングリッチの主張」 2000.6.1


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