■■■■■ 2011.12.2 ■■■■■

  福島原発の状況シュミレーション結果の感想

12月1日、シュミレーション解析による福島第一原発の状況判断が発表されたそうだ。東京電力、エネルギー総合工学研究所、原子力安全基盤機構の3者が別々に行ったらしい。そのハイライトは、メルトダウンして底部コンクリートの侵食に至っているが、安定状態にあるとの結果のようだ。
報道トーンは、そんなに進んでいたとはビックリといったところか。

もっとも、そんな予測は、海外の報道に目を通していれば、事故直後からわかっていた話。まともな根拠を示さず、ただただ。安全だから落ち着いて行動して下さいと繰り返すだけのNHKの科学記者の解説だけ聞いていれば、なにもわからないが。
当時、素人にはどう見えたか、ふり返っておこうか。

(1)冷却水の供給が止まれば、燃料棒は早晩水面から露出。そうなれば、即、溶融開始。こんなことは素人でもわかる話。
国家の危機ということで、超法規的措置で即時に対応していれば、これほどの悲惨な災害にならなかった筈だが、残念至極。
(2)古い型なので釜が小さく、高温高圧化スピードは早く、溶融はすぐに始まる。
首相の現地視察とは、メルトダウンの危機感ゼロということ。これで結果は決まった。
(3)核燃料が溶融落下すると、少量であっても、この型の構造上、底のシールが侵食される。すぐに、穴が開くということ。
釜以外にも大問題があった。
(4)膨大な使用済み燃料棒があり、冷却不全状態なのだから、一部が露出し始めている可能性がある。そうなったらもう手がつけられなくなる。
爆発。海外での発表で、規模が大きいことがわかった。
(5)超高温の水蒸気爆発か水素ガス爆発ということ。言うまでもないが、予想の範囲内。
もくもくと煙があがる。水蒸気だけとは思えない白煙。さらには黒煙も。大規模な化学反応発生だ。ただ、大爆発にもかかわらず、釜の計測センサーはすべて機能していそうな報道だった。
(6)コンクリートは侵食されたが、モニター類が動いているから、土台としての機能は維持していそうだ。

シュミレーションとは、こうした「当たり前」の見方と矛盾しないようにパラメーターを設定したモデル計算以上のものではなかろう。構造物内を見ることができない上、釜のモニターデータ量は余りに少ないのだから、それ以上を望むのは無理というもの。

本来は、ここら辺りが、このニュースのポイント。この先も、釜の内部はおろか、格納容器内にしてもデータをとるのは難しい。放射能汚染を防ぐ手立てが無いからである。つまり、危険な作業を開始するつもりなら、この程度の推測をベースにして、博打を打つしかない。それはいくらなんでも無理だろう。つまり、手持ちの技術では、「廃炉」にすべく構築物撤去作業を始めることは不可能ということ。
冷却作業を続けると共に、コンクリートで周囲を固め、放射能漏れがなきよう、永久的に管理業務続ける以外に手はないのである。従って、それを前提とした安全確保体制を、出来る限り早く構築する必要があろう。言うまでもないが、原子力発電の技術体系では対応できないから、新たな組織を編成せざるを得ない。

そんなところが、ニュースを耳にして素人が感じた点。

(ref.)
「1号機の落下燃料は85%…各機関の解析に開き」 読売新聞 2011年12月1日
「核燃料露出まで1・5メートル 福島4号機プールの水位低下」 共同通信-47News 2011/12/02


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