■■■■■ 2011.12.13 ■■■■■

  "The Economist"の面白論説

"The Economist"ほど良質な論説をふんだんに掲載している雑誌は他にないのでは。
非母国語だから、読むのに骨が折れるが、それだけのことはある。

話はとぶが、日本の社会の一大特徴は、皆、知っていても、叩かれるのが怖いから黙っていること。海外から見れば、グルの巣窟。
まあ、どこの国だって、そんな仕組みはあるのだが、それを抑えるべく一応は制度を作る。もちろん、効果はたいしたことはないが、日本ではそんなものは端から無駄だと見なし知らん顔。裁判の判決でおわかりのように、法治概念が根本的に違うからいかんともし難い。
お陰で、日本の話を耳にはさめば、あの国はズルの巣窟との見方は深まる一方。しかも、それを否定できないつらさ。
いつそんな点を突かれるかわかったものではない。政治的窮地に追い込まれれば、対外問題に目をそらすのが世の常。その際に狙われ易いのは日本。用心にこしたことはなかろう。
そんな観点で、記事を読んでおくこともお忘れなく。

それでは、だいぶ前だが、日本を扱った出色記事から。・・・そこでは2001-2010年の経済データが示されている:
(1) GDPの年平均成長率は0.8%で、米国の1.6%と比較すれば低いが、ユーロ圏は1.0%程度でたいした違いはない。
(2) しかるに、一人当たりGDPの年平均成長率でみれば米国やユーロ圏をしのいでいるではないか。
(3) 一方、失業率を見てみると、日本は4-6%程度と安定している。欧米のように、9-10%という数字に直面する兆しは全く認められない。
(4) だが、なんといっても、忘れてならないのは、日本は世界最大の債権者という点。

もちろん、この国には大きな問題がある。それは、とんでもなく巨大に膨らんでしまった財政赤字。と言っても、その原因ははっきりしている。急増した社会保障費だ。
従って、この解決は単純至極。社会保障費を削るか、増税だ。なにせ、民間部門の貯蓄額は巨大なのだから、無理難題という訳ではない。

要するに、この記事では、そうした政策を早くヤレと主張しているにすぎない。野田首相の増税路線へのエールと見ることもできるし、老人大国のエゴがまかり通る社会への批判と考えることもできよう。

しかし、もう一つの視点にも注意を払っておく必要があろう。
上記の状況が、海外にどう映るかだ。・・・「失われた10年」とか、「第二の失われた10年」と大騒ぎしているらしいが、それって一体何なの。

(The Economist 記事)
"Japan’s economy: Whose lost decade?" Nov 19th 2011 http://www.economist.com/node/21538745


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