■■■■■ 2011.12.31 ■■■■■

 2011は暗い絵の制作年かも

東証大納会は逆御祝儀相場。日経平均株価は、1982年以来の安値。日本のトップ証券会社がネット上の一言でオタオタするまで弱体化している位だから、年末を気分よく過ごす余裕もなくなったということかも。
まあ、センチメントの悪化は避けがたい。海外紙では、欧米中の経済が揃って沈むとの解説が氾濫し始めており、短期的には、さらなる円高不可避の上に、輸出に黄色信号が灯っているのだから。その上、中東原油供給の不安も加わってきた。当然の事態と言えなくもないが、この状況は深刻。
なんとなれば、軒並みPBRが1以下だからだ。帳簿上の清算価値さえ疑問視されてしまったということ。しかも、取引量も縮小傾向が著しい。
これは、日本の産業の将来性に期待する人が激減したということを意味していないか。日本は改革できない国であり、そんな国をベースにしている企業は結局のところ資本を食いつぶすことになろうとの見方が広まりつつあるような気もしないではない。嫌なムードである。

そんな流れを作っている元凶の一つが、野田首相のリーダーシップの下に進められた消費税増税法案提出の動き。法案成立の勝算があるとも思えないが、国際公約のプライマリ・バランス実現期日に間に合わせる必要もあり、これ以外の手が無い訳だ。問題は、失敗すればド壷にはまりかねない点。国内の政権崩壊でとどまらず、国際金融資本主義の世界で餌食にされる恐れがあるからだ。実に心配。

当たり前だが、増税と社会保障費削減は緊要な課題。従って、欧州並の消費税率化や所得税の累進課税強化は避けられない。しかし、そこから手を付けるのは、先延ばし手法と同義。これらは、一番簡単な税収増の手段だからだ。財政的に切羽詰っていることはわかるが、最悪の手を指してしまったのでは。
なにせ、一方で、族議員集団政治を見せつける、膨大なバラ撒き予算を編成したのだから。これでは、誰が考えても、財政再建ができるとは思えまい。
それに、法案がそのまま成立したとしても、副作用は確実に生まれる。施行しても結局のところ財政再建に効果がほとんど無かったりしかねない。焼け石に水と判断されれば、どんな反応がうまれるか考えるべきだろう。小生には、暗い将来しか想い浮かばない。

さらに厄介なのは、法案が通らなかった場合。衆議院解散にでもなれば、反消費税増税政党大躍進間違いなし。その後は迷走政治必至では。

どちらにしても、日本国債を大量にかかえる日本の金融機関の信用危機の恐れあり。欧米金融機関の信用低下が始まりそうだが、日本がそれに輪をかける訳だ。もし、そんな事態が訪れるとすると、どういう絵が描けるだろうか。
常識的には、欧米では、すでにそんな絵を完成している人もいる筈。日本人からみればそれは暗い絵。 2011は、まさに、そんな暗い絵の世界への誘いの年だったと言えまいか。


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