小沢裁判のハイライトということで法廷でのやりとりが公開されている。目を通してみたが結構面白い。
予想にたがわず、目新しいものは何もなく、凡庸なやりとりだけなのだが。
欧米流の法治主義でいけば、秘書の供述調書作成が思い込みに基づいた作為的なものだったとの検察官証言が飛び出したのだから、それだけで無罪確定だと思うが、日本ではそういう訳にはいかない。はたして、どういう結果になるのだろうか。
そんな日本の仕組みを考えれば、凡庸な質問をながながと行うことが有罪を引き出す上で一番効果があるということのようだ。
それはともかく、小生が読んで面白かったところを引用してみた。
○ お金の出所を示す証拠は全く無い。日本流だろうから、裁判官の心証で有罪か無罪かが決まるのだろう。
[弁護士]手元にあった4億の現金は、どういうことから小沢さんの手元に存在したのか?
[小沢元代表]私の場合、現金でずっと以前から所有していました。
○ 従って、常識的におかしいという点をくり返し質問するだけの質の低い追及が続く。実に日本的。
(指定弁護士)これも感覚の違いと言われればそれまでなのかもしれませんが、陸山会の口座に入っていた金を現金にして届けたようですが、銀行の口座からあなたに金を移すなら、あなた個人の口座に振り込めばよいと思うのですが、なぜ現金にしたのですか?
(小沢元代表)先ほど申し上げたとおり、手元にいつ何があっても使い勝手がいいように、いつも手元にある程度の現金を持っていました。したがって、手元に現金で返させたことは不自然ではありませんし、銀行の口座は一定の収入についての口座として使っているので、現金で金を受け取るというのは不自然さも違和感もない。
○ ともあれ、金権政治風土を叩くべく、象徴的な政治家を起訴しようとして検察は思い込み捜査を敢行し、大失敗した訳である。
[弁護士]検事から、不正に秘匿した金とは、聞かれませんでしたか?
[小沢元代表]ありました。それが目的で聴取をしたと感じました。
○ どの議員にしても、政治団体といっても、中味はなにもなく、単に資金帳簿作りのためのペーパー上の組織。組織規約など意味は無い。ここが問題の本質なのだが。
[指定弁護士]あなたや、あなたの事務所の(収支報告書への)関わり方は、政治資金規正法上ふさわしいと、今でも思っているのですか?
[小沢元代表]ふさわしいかどうか分かりませんが、担当者に任せて十分正確にできる内容でした。お前はいいと思っていたのかどうかと聞かれると、格別いいとはいえませんが、事務的なことであって。収支報告書が大事でないとは言っていませんが、事務的なことは秘書に任せても十分なことで、私は直接関心を持つものではなく、私にはもっともっと関心を持つことがあったということです。
○ まあ、メリットがあるから政治献金が行われる訳で、政治家が寄付金額を確認した上で政治的に動iいたと言う訳がない。これまた実につまらぬ質問だが、これが法廷戦術というものなのだろう。
(指定弁護士)寄付についても数字は確認するんですか?
(小沢元代表)それはほとんどありません。うまくいっているかどうかというやりとりで分かり合える、それは当たり前の政治家と秘書の関係だと思います。
○ つまらぬことはすべて秘書まかせで、関心は天下国家のみとのこと。ヨクゾ言ってくれました。
[弁護士]事務的なことでも、重要なことは報告させていたのではないですか?
[小沢元代表]私は、任せたことについては、一切、彼らの自主的判断で仕事をしてもらうようにしています。任せた仕事をいちいち検証し、干渉していたのでは回りませんし、私の関心は、口はばったいですが、天下国家の話でありまして、それに全力を集中する日常を送っているつもりであります。
「詳報・小沢元代表は何を語ったか 小沢氏裁判(1)〜(11)」 NHK 2012年1月10日、
「同(12)〜(20)」 NHK 2012年1月11日