■■■■■ 2012.1.23 ■■■■■

 米国大統領選に関するニュースの読み方

SC州での共和党候補予備選挙は、開けてみれば、ギングリッジ候補は2位に大差の40.4%を獲得。直前まで、日本の報道は猛追というものだったがハズレ。その前は、ロムニー1位を示唆。従って、直前の討論会での態度が勝敗を左右したとの話になっている。
1月17日のCNN調査では、ロムニー候補33%、ギングリッジ候補23%だったから、そりゃそうだろうと言えるのだが、そんな見方でよいのだろうか。
1月8日の別の調査では、両者は互角。ギングリッジ候補1位。もともとがそういう政治状況の州である。問題は、その感覚を、日本の新聞を読んでいて感じることができたか。

と言うことで、米国大統領選挙に関する、日本の新聞記事をウエブで眺めていて、感じた点をあげてみよう。

 ・ステレオタイプな解説が僅かに含まれているものが主流。
 ・記載されているデータは一部抜粋でしかない。
  どうしてその点のみに注目しているのかはわからない。
  知りたい情報は記載されていないことが多い。
 ・4次情報(ソースは日本)と疑わざるを得ない記事がある。
 ・一般に、情報ソースは曖昧。
 ・取材ベースの記事もありそうだが、見出しからは判別できない。

要するに、まともなものに出くわす確率が低いのである。知りたくなって、色々な記事を見ても徒労に終わる可能性が高い。そんなことをしていると、頭が鈍るのではと思ったり。

だが、識者や署名記事なら良いかというと、そうでもなさそう。政局報道がえらく喜ばれる社会風土に合わせて書かれているからだ。お陰で、読んでも納得感はイマイチ。なかには、えらく古そうな認識の評論も。

そこで、小生がとったのは、最初に、ざっと生データを見る手立て。POLITICO・2012LIVE(www.politico.com/2012-election/presidential-polls/)が一番。

例えば、前述の1月8日のNC州の調査では、ギングリッジ候補もロムニー候補も現職に勝てない。サントラム候補だけが希望あり。
なるほど、そういうことかという感じ。
ちなみに、CNNの1月17日のフロリダ州調査ではロムニー候補が47%で2位は2割に届かず。そして、現職大統領に勝てるとの見込み。

こうしたデータを見た上で、論説を読むと状況がわかってくる。もちろん、POLITICOとWPだ。これらの抜粋訳でもあると、さっと目を通すことができて有り難いのだが。
WSJやNYT等にも面白い指摘が掲載されていそうだが、やはり餅は餅屋。

ところで、当サイトでの過去記載を思い出してしまった。(2011年11月29日「ズブの素人の本命予測はGingrich」)
その論旨で読むとどうなるか。・・・

SC州で勝利を収めると共和党候補者の座を射止めるというのが経験則。ここは共和党では結節点なのである。ここで勝利すれば、原理主義的なプロテスタントとクリスチャンの票をまとめることができることが誇示できるということ。これを切欠として、以後、全国で、宗教ベースの草の根献金運動を始めることができる訳だ。素人が見ても、それこそがレーガンやブッシュの勝利の秘訣。
はたして、今回はどうなるか。

小生は、NH州で支持が3割を越えたことが、ロムニー候補のSC州での負け戦に繋がったと見ている。その数値は、宗教的亜流の候補が宗教の壁を乗り越えたことを意味するからだ。これに、宗教勢力が強烈な危機感を抱かない筈はない。反モルモン教徒候補者の一本化しか手はなかろう。それだけのこと。当たり前だが、建前上、そんなことを表立って言う人は滅多にいまい。


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