■■■■■ 2012.2.9 ■■■■■

 秋入学はほぼ決まりらしいが

秋入学の話が結構お盛ん。ニュースの調子からみると、ほぼ決まりらしい。
これで、大学事務当局は多忙となり、人員削減の恐れは無くなった。ご同慶の至り。

国際標準の9月新学期に合わせるだけだから、本気で反対する人は少ない。従って、粛々と進むことだろう。と言っても、順調に進んだところで5年も先の話で、今更感あり。
と言うか、国際化の観点で進めたいなら、とうに時機を逸してしまったとは言えまいか。

もっとも、発言はなかなか面白い。 「若い人が内向きになっているのではなく、社会の仕組みが内向きではないのか。それを変えるのが年長者の仕事。学生たちに『タフになれ、リスクをとれ』と言っているのに何もしないのは見苦しい。課題は山ほどあるが、政府や企業の反応はいい感触だ」。

なるほどネー。
内向き打破か。空回りしなければよいが。
そんな危惧の念を抱くのは、日本のエリート大学生は、入学時点で才能の「打ち止め」状態に達していそうだから。内向きになる根本原因はコレではないかと睨んでいるのである。

つまり、大学でどんな道を選ぼうが、どれだけ頑張って勉強しようが、学びのスタイルは変えることができないのである。分かり易く言えば、大学で4年間過ごしても、創造力の飛躍的向上は期待できそうにないということ。

それを、本人も薄々気付いているから、リスクがとれないのでは。大学で「飛躍できる感」が無いのに、海外に出ての武者修行などもってのほかでは。
ここら辺りを誤解しているから、挑戦をお勧めしたりするのである。そんなことをすれば、事態は好転どころか悪化するかもしれぬ。

そうそう、挑戦の機会を増やそうということで、学生起業推奨策を打ち出す取り組みもあるという。これこそ考えモノ。
内向きのコネ社会だからこそ、エリートとして扱われているのである。それに気付かない状態での「挑戦」に意味があるか考えるべきでは。

小生は、挑戦の前にすべきことがあると思う。
先ずは、頭の伸びシロを増やすべきと考える。
一番手っ取り早い方法は、エリート学生達の頭脳に一撃を食らわす授業を提供すること。一度、頭を完全に混乱させ、自分の頭で考えさせる要あり。
今の体制はまずい。「できあがった人」に一流人の講義を聞かせたり、効果抜群と称される授業カリキュラムで「鍛える」ものになっているからだ。これでは、たいした効果は得られまい。

一流人にはマス教育でなく、個別指導をお願いし、内向き社会向きに「できあがった人」を改造してもらうべき。当然ながら、手間も費用もかかるが、それ以外の手では効果は期待薄。要は、少数精鋭主義での人材育成に徹すること。大量生産はそろそろお止めになったら如何かと。
挑戦の気概無しということは、エリート意識はあっても凡庸でしかない大学卒が溢れかえっているのと同義なのだから。

ともあれ、いくら仕組みを国際標準に合わせたところで、学生の質が変わることはなかろう。なにせ、学生の目から見た、エリート大学の魅力とは、自分を改造していく場ではなく、食べていくのに有利になるコネの獲得と同窓看板の利用方法の習得でしかない。
内向きを本気で壊したいならココから。

(記事)
「国際化への地ならし、学内改革始動 東大秋入学の行方(2)」 朝日新聞 2012年1月28日
「秋入学、総合大5割が前向き=国際化期待、資格系は慎重」 時事通信 2012/02/06


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