インフルエンザ大流行。ピーク時の患者数211万だから、久方ぶり。
ようやく沈静傾向が見えたそうだが、警報解除できるレベルではない。
その割に、危機感が広がっていそうにない。こまったもの。
今回は、A香港型ウイルスらしい。従って、特段に問題があるとは思えない。
ワクチン供給量は前年度より減ったとはいえ、ここ10年で見れば、十分に高いレベル。
どうしてこれほど流行するのか気になるところ。
そんな雰囲気を感じたのか、NHKニュースが、突然、ウイルス変異でワクチンが効かないと報道。
うーむ。
どういう性格の情報なのか読み取れないから、にわかに信じがたいニュースである。
そう思うのは、ワクチンが効かないなら、これだけ大流行していれば、現場の医者が気付いて騒ぎそうなものだから。(言うまでもないが、ワクチンには有効率があり、予防は確率でしか議論できない。常識的にはすぐにはわからないもの。)
読売新聞だけは、低効果を示唆する報道を続けていたとはいえ。
もちろん、ウイルス変異の可能性は低くはない。もしそうなら、今後、どうすべきか思案のしどころとなる。信頼に足るデータが揃ってからの話だが。
と言っても、この分野は理屈がわからぬ主張も少なくないから、どうなるかはさっぱりわからぬ。
ともあれ、現状認識位は、共有できそうなもの。
一番重要なのは、日本の対応が特異なスタイルである点。・・・簡易診断陽性なら、即、「タミフル」投与がまかり通る国。
世界の趨勢は、抗生物質投与同様に、薬剤耐性化防止を念頭に置いた方策。おカネの問題もあるが、免疫力があれば回復する疾病だから、安静指示が普通。
ところが、この手の処置は日本では大いに嫌われる。患者が「タミフル」投与の即効を望むからだ。お陰で、流石、処方薬は効くネと大喜びの図だらけ。医師も大助かりだし。そして、多くの患者は、熱が下がれば、即外出開始。おかげで、世間はウイルスだらけ。小生など、ここら辺りが大流行の根源ではないかと見ている口。
しかし、この日本方式だが、結構ご都合主義。
特別養護老人ホームでの集団発生防止に、「タミフル」投薬での対応は遅れがちなのだ。患者が発生したら、即、予防投与とはならない模様。ここには、原則論を適用するのである。思うに、ワクチンは補助金が出るので接種できるが、予防処置の投薬は自費払いになるからだろう。
小生は、日本のような、人が密集する場が矢鱈多い国では、季節性インフルエンザ対策としては、ワクチンの原則全員接種と、感染している可能性が高い弱者への「タミフル」予防投与が望ましいと考えている。そして、普段丈夫な人に「タミフル」を投与した場合は、自宅待機期間厳守の確約書を提出させる程度は最低限必要だろう。
しかし、そういう流れにはなりそうにないから、心配なのである。
(記事)
「インフル患者175万人、2週連続で減少 なお警戒必要」 日経 2012/2/24
「インフルエンザ“ワクチン効果低い”」 NHK 2月24日
「予防接種、隔離でも防げず
」 読売新聞 2012年2月25日
「老人ホームでインフル集団感染、昨年に予防接種」
読売新聞 2012年2月12日
「インフル患者170万人超、ワクチン過信は禁物」 読売新聞 2012年2月3日
(註) おそらく、インフルエンザは、老人にとって極めて危険な疾病である。・・・「2012. 1.28 感染症による死について
」