■■■■■ 2012.3.1 ■■■■■

 米国市場では、電子書籍化がさらに加速

グローバル展開で圧倒的な力を持つフィナンシャル・タイムズ、流石。
米国の読者はデジタル版の方が多くなったそうである。
 Digital readership with online subscriptions: 267,000
 Direct corporate licences: 2,000
 FT.com registered users: 4million

FINANCIAL TIMES GROUPの業績も絶好調。
  -year- -Sales/Adjusted operating profit-
  -2011- £427million/£76million
  -2010- £403million/£60million

ついでと言ってはなんだが、同じ企業の別事業部門のペンギンの状況も眺めてみた。こちらではeBook売り上げ倍増。もちろん最高益。 ペンギンをKindleで読むのはすでに当たり前ということか。もっとも、他のフォーマットにも対応しているそうだから、違うリーダーをお好みの人もいるかも知れぬが。
2011年末に、電子化をさらに促進との話が流れていたが、ここまで進んでくれば後は一気呵成でとなろう。事業責任者がデジタルだけの短編集の出版にえらく熱意を持っているのも当然の話。eペーパーバックをコーヒー一杯の値段である£1.99に設定するそうだが、考えてみれば当たり前の話。言われてみれば、1935年のペーパーバック創刊の志なら、そうならざるを得まい。文庫本価格をどんどん上げる収益確保策などおよそふざけた話。
思わず、その昔のペンギンの日本価格を思い出したりする人もいよう。入手するために、神保町のタトルにまで足を伸ばす必要があり、その交通費もかかったし。昔の日本の高校生にはペンギンは安い本ではなかったのである。まさに、今は使わなくなった用語の「後進国」であることを実感させられたものだった。日本は再び同じようになるのかも。

ともあれ、なんだか意図がわからぬ、作品バンドルものから、一部だけを取り出し、eペーパーバックにしてくれるそうだから、これは助かる。もっとも、日本ではその手はウケないとの説もある。色々な作品がオマケのようについている方が嬉しい人だらけだとか。
それはともかく、大手出版社がますます力を入れるから、欧米での電子書籍普及は加速しそう。ペンギンは2012年に世界展開とか。果たして、日本ではどうするのだろう。

そうそう、タイムリーに出すべき時節モノエッセイや話題を取り上げた新書も続々かと思ったら、そういう話ではないらしい。それは毎週出版する電子雑誌の世界で、ペンギンの読者層向きではないとは思うが。
ただ、企画後1ヶ月ほどで電子出版にこぎつけるというから、猛烈なスピードである。
いよいよそんな時代か。もちろん、日本を除いた先進国での話だが。

(記事)
"Pearson Sees Digital Growth" WSJ 27 FEBRUARY 2012
Alison Flood: "Penguin joins push for short ebooks" Guardian December 12, 2011
(data source)
"Pearson 2011 results" February 27, 2012


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