ようやくユーロ危機が収束の運び。これを喜んでよいのか、なんとも言えず。
なにせ、たった2%の経済規模の国でのデフォルト騒ぎでここまで大事になってしまったのだから。この先安泰などと言える人は一人もいまい。
それに、すでに欧州経済は冷え込んでしまった。財政刺激も無くなる訳で、成長はほとんど期待薄と見てよいのでは。
それだけならまだしも、この余波で中国は貿易赤字をくらった。一難去って、また一難。
皆、急に心配し始めたようだ。口先とは違い、ソフトランディングを期待していた訳だが、これで、下手するとバブル崩壊が一気に始まっるのではとビクついているのである。中国の経済成長が落ちれば、世界経済は急激に縮小化し、エライことになりかねないからだ。もっとも、日本の嫌中派は、大国意識丸出しの中国もざまあみろダネ、という感覚しかなさそう。なにを考えているのやら。
日本の最大の輸出先が変調をきたせば、なんの備えもしていない日本への影響は甚大なのに。
もっとも、海外メディアが、2012年秋にはイラン戦争勃発かと騒ぎ始めていても、なんの危機感もないのだから当然か。米・イスラエル首脳会談が行われ、ブラフとも思えない、不退転の姿勢が明らかになってしまったというのに。なにせ、ホルムズ海峡波高しにもかかわらず、原子力発電を停止したまま平然としていられる国なのである。
まあ、昔からの米国頼みの感覚が抜け切らないということかナ。残念ながら、米国にはもうその力はないのだが。にもかかわらず、イランの同盟国たるシリアのアサド政権打倒の動きにも関与しようとしており、危険なことこの上なし。シリアが不安定化すれば、宗教勢力が黙っていないだろうからイラク内乱につながり、同時にヨルダン政変やレバノン大混乱へと、ドミノ現象発生の可能性が高かろう。一縷の望みは、せいぜいのところ、ロシア辺りの仲介位しかないから、恐ろしい。
野田政権が、最悪のシナリオを踏まえた対応策を用意しているとはとうてい思えないから、実に心配。
そもそも、イラン問題などなくとも、中東原油の将来性は黄色信号が灯っていたのである。最大の産油国であるサウジアラビアにしてから、すでに増産できる状況になく、湾岸地域が経済発展でもしようものなら、輸出を削らざるを得なくなると言われていたのである。世界の原油需給を考えれば、米国がシェールガス開発や原発投資に踏み切って当然。
それにサウジアラビアは国内政治も行き詰っていると見た方がよかろう。だからこそのアルカイダ原産地。軍事展開能力が急激に落ち込んでいる米国にとっても、そういつまでも、独裁宗教政権を支持している訳にもいくまい。つまり、いつ政変が発生しても驚きではなくなってきたということ。
もし、そんなことになれば、日本はそれこそ「油断」。
エクソンが日本市場に興味を失ったのは、国内市場の縮退化だけでなく、リスクを考えれば、自然な動きと見ることもできそう。
まあ、中東原油が断たれようが、国会議員の大半は脱原発路線で行くしかないということらしいから、エネルギー危機が訪れたら、それはそれで致し方なしということなのだろう。もっとも、政治屋としては、大半の国民は、脱成長路線を支持しているから、それに従っているにすぎないと語るのだろうが。
こんなことをつい考えてしまったのは、海外の3.11報道を眺めたりしたからでもある。どうも、海外メディアは日本にリスクを感じ取っている模様。誰も救うことができない財政債務にも呆れている訳だが、自然災害が怖いと本気で思っていそう。
未だに余震が続いており、同じような大災害が発生する可能性がありそうと心配している訳だ。そりゃ、当たり前。もしも、東京で発生したら大変なことになる。日本経済大打撃ですまず、世界が経済恐慌に見舞われるかも知れないからである。
おそらく、欧米のシンクタンクでは、その場合の対処策の議論がされているに違いない。
ただ、そこまで周到な欧米のシンクタンク社会でも、米国政治の混迷が生み出すリスクについての考察は、今一歩のようである。
すでに、共和党大統領候補選挙はトンデモ状態であり、この調子では2012年秋以降は政治は滅茶苦茶になるのではなかろうか。政治的な妥協どころか、四分五裂で勝手な自己主張だけを繰り広げるだけ。ひどすぎる。
増税は1ドルたりとも許すな式の意見が未だに語られているし、政府不要論も続いている。現実性ゼロの論戦をいつまでも続ける勢力が居ついてしまったらしい。その上、堕胎許さず!とか、婚姻は神聖であるべし!といった、倫理論争を政治活動の中軸にしたい人が大活躍。世俗政治を否定し、宗教原理主義政治を取り入れようとしているとしか思えない動きだ。ここまでくると、大統領選挙で決着したところで、論争が議会に持ち込まれることになるから、二大政党政治は全く機能しなくなるだろう。
国民皆保険制度を仕上げたいオバマ大統領が再選されれば、議会は空転するのは間違いなさそう。
そうなると、日本は、訳のわからぬ米国の方針に合わせるしかない訳だ。一体、どうなることやら。