22日、ロイターニュースで、日銀審議委員の記者会見のポイントが流れて来た。
いよいよ、恐れていたことが始まりかねない状態に突入するのかとビックリ。どうなることかとヒヤヒヤした。
国政がどうにもならない状況だから、避け難い訳だが。
とりあえずは、"長期金利の横ばい続く、森本審議委員会見の直接的な影響出ていない" ということで、落ち着いたようだが。この先どうなることやら。
ともあれ、この発言、見モノというか、聞きモノだった。
●「成長力の強化と合わせて取り組まなければならない課題として、財政の持続性確保がある」。「財政健全化に向けた取り組み姿勢にひとたび市場が疑義を持つと、状況は非連続に変化する可能性がある」。
・・・ハハハ。と言っても、笑っている場合ではないのだが。国際公約の消費税増税が下手をすれば頓挫しかねない状況なのだから、流石に、業をにやした訳であるが、言い方によっては市場は急変しかねない。
もっとも、他人のことはいいから、日銀はどうなのヨ。と言われることになる。1%のインフレターゲットとはどういう意味なのか、誰もがよくわからない説明しか聞かされていないのだから。
●「国内物価上昇率は、現在のデフレに陥る前から、海外の主要国に比べて、ほぼ一貫して低い状態が続いている」。「国民の物価観から離れ、一気にこれまであまり経験していない物価上昇率を目指そうとすれば、家計や企業はかえって大きな不確実性に直面し、長期金利の上昇を招く恐れもないわけではない」。
・・・だから1%辺りが妥当なのですヨ、と言うのである。まあ、国際商品市況が上昇しており、企業物価指数が先行き強含んでいくとの見通しを示したそうだから、黙っていてもデフレは消えていきそうなトレンドですよと発信しただけのことかナ。国際的にも、まあ、日本の中央銀行だけ、インフレ率をどう見ているのかさっぱりわからぬと言われる訳にもいかないだろうし。
●「10兆円の追加緩和、バランスシート上分別管理しており財政ファイナンスではない」、「基金による買い入れは長めの市場金利に働きかけることを目的として実施しており、基金はバランスシート上透明性をもって分別管理されている」。「たまたま足し算すると確かに40兆というすごい金額になるが、今回増額した10兆円は、しっかり基金として別管理しているとの性格を理解してほしい」。
・・・そりゃそうとでも言わなければ、中央銀行が無制限な国債買い入れを始めるつもりということになる。もっとも、事実上、それを望む国会議員も少なくない。それも、驚くことに、小さな政府派が一番強硬に主張していたりして。ハイパーインフレになろうが、デフレ解消になるならなんでもよいというトンデモ論信奉者は少なくないのである。そりゃ、日銀がなにもしないからデフレが続くと言っていれば政治家は楽である。もちろん、この言い草はほとんどデマに近い。ジャブジャブ流し続けたカネの規模は余りに巨大だからだ。他の中央銀行と比較すれば素人でもわかる話。GDP比で見れば、突出した水膨れ状態と言わざるを得まい。
従って、この発言がどう映るかはなんとも言えず。嘘と見なされれば、長期国債暴落の可能性アリ。
●「原油価格上昇、日本経済下押しに大きな影響与えること間違いない」。イラン情勢が「一段と緊迫化して原油価格が大幅に上昇すれば、世界経済をさらに減速させる可能性があるほか、日本経済にとっても貿易収支や企業収益の悪化などを通じて景気の下振れ要因となる」。
・・・すべての原発が止まった状態での、油断もありえるのではないかナ。そこまでは言わない訳か。
●国内の原子力発電所が仮に全て停止する場合は、「夏場のピーク需要時の電力需給が厳しくなり、経済活動に影響を与える可能性がある」。又、国内の原子力発電所が仮に全て停止する場合は、「夏場のピーク需要時の電力需給が厳しくなり、経済活動に影響を与える可能性がある」。料高が料金に転嫁される場合は「企業収益に与える影響にも注意を払う必要がある」。
・・・大いに潤う復興事業周辺を除けば、資本コスト割れで事業を継続している中小零細企業だらけなのが現実。この状態で、操業中断や電力コスト増に襲われれば、どうにもならなくなるのではないかな。働く人々にカネをバラ撒くことにご執心の政権だから、これから企業負担が増すのは自明。小生は、これを切欠に、廃業や事業縮小が一気に発生しかねない雰囲気を感じるが、いかがかナ。
●欧州での「緊張は幾分和らいでいるが、この先、問題が再び深刻化し、国際金融市場の混乱や貿易取引の急減を招く可能性は皆無でない」。「ギリシャの国内情勢を踏まえると、国際社会に約束した財政緊縮策を確実に実行できるかは不透明」。
・・・そんなことは言われないでも素人でもわかる話だ。3月のギリシア債務返済は乗り切った訳だが、キャッシュを生む産業が乏しい国が、積みあがった巨額債務の返済可能である筈がなかろう。ドイツに、デフォルトを阻止する気構えがあるのか、債務構成を再構築できるのか、さっぱりわからない以上、いつ再燃してもおかしくないのは確か。だが、それでどうする。
●米経済は、「緩和的な金融環境のもとで、株価がリーマン・ショック後の高値圏で推移している」が、「家計のバランスシート調整圧力が続く中、経済全体の回復は総じて緩やか」。
・・・緩やかだろうが、回復基調なら皆一安心。もっとも、大統領選までは、その通りだと、もともと誰でも思っている話。問題はその後。はたして、成長路線に乗るのだろうか。そうあって欲しいところだが、不安定政治に陥りそうなのである。一体、どうなるのだろう。
●中国経済は、「安定成長に軸足を移すもとで伸び率が縮小するとはいえ、所得水準の上昇や都市化を背景とする構造的な内需拡大の余地は大きく、高めの成長は続けていく」。
・・・それなら有難い。意図的な楽観論でなかればよいが。違う見方が急浮上しつつあるようだから。
(ロイター記事)
「UPDATE2: 財政健全化への取り組みに市場が疑義持てば、低水準の国債金利も非連続に変化=森本日銀審議委員」
2012年 03月 22日 12:41 JST
「国債金利、財政健全化に疑義なら変化も=森本日銀審議委員」 2012年 03月 22日 13:43 JST
「10兆円の追加緩和、財政ファイナンスではない=森本日銀委員」 2012年 03月 22日 2012年 03月 22日 15:42 JST
「〔金利マーケットアイ〕夜間取引の国債先物は強含み、円高の振れに反応」 2012年 03月 22日 18:02 JST