■■■■■ 2012.3.30 ■■■■■

 エルピーダメモリ支援企業選定入札報道で感じたこと

30日の日経朝刊が、東芝が経営破綻したエルピーダメモリの入札参加と報じた。言うまでもないが、提携交渉が進んでいたと言われているマイクロンと、ハイニックスも参加。

当然の流れ。
メモリ産業で生きていこうと思ったら、エルピーダの保有技術が欲しくなって当たり前。

それにしても、入札企業は多士済々。
マイクロンは資本コストに見合った地道なやり方で、しぶとくDRAM業界で生き残って来た。
韓国勢のサムスン電子とハイニックスは国からの後押しを活用しながら果敢な投資で業界を席巻してきた訳である。

そして、東芝は自社技術を生かしつつ、DRAMから撤退することで生き残りを図った企業。それにしても、よく耐えたものである。
なにせ、競合の日本のDRAMメーカーのなかには、資本コスト割れだろうが、「最先端」分野での技術競争に負ける訳にはいかないという方針をとった企業がいたのだから。その志はわからないでもないが、長期的にも資本コスト割れの事業を追求されたのでは、競争する側にとっては、たまったものではなかろう。そんな技術志向体質がエルピーダメモリに残っていた可能性もありそう。

もっとも、半導体の技術マネジメントが苦手なのは、日本企業全般に言えることかも。

メディアから一斉に、「没落」と叩かれている日本のTVメーカーも該当しそう。もちろん、直接的には、ディスプレーパネルの価格低下が引き金になった訳だが、本質的には、大型新製品を生みだすことができなくなったからと言われている。 だが、半導体の技術マネジメントが今一歩だったことも大きいのではなかろうか。
ざっと、眺めてみようか。

(ソニー)
プレイステーション2の事業成功時点で、半導体事業全体の位置付けと、事業をどう推進していくつもりかが、外部からわからない状況になっていた。TV用半導体を技術の切り札にする気なら、やり方は違っていたと思われるのだが。それに、プレイステーション3用チップ開発も、素人には、その狙いがよくわからなかった。
(関西家電)
TV用の半導体事業の位置付けがどうなっているのか、素人には読めず。パネル用ドライバーの独自性にこだわれば開発コスト負担は巨大。自社TVの機能差別化を図るために、特別なシステムLSIを都度開発などしていたらこのコストも膨大。
そして、何と言っても問題なのは、アセンブリ商品の原価計算スキルの優位性は、この手の半導体事業には余り効かないという点。

この状況を見ていると、自動車分野は大丈夫か心配になってくる。バイ・ワイヤーの世界に入れば、ほとんどの部品が半導体利用技術と絡んでくるからだ。日本は70年代から研究開発をしてきた「歴史」という強みが使えるから、安全性担保という点で、暫くは大丈夫だとはいえ。

(記事) 「WRAPUP1: ハイニックスとマイクロンがエルピーダ支援入札に参加意向、東芝も検討」  2012年 03月 30日 18:06 JST ロイター


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