キツネは警戒心が強く、人に慣れないという。
そりゃそうだろう。キツネに限らず、野生動物とはそううものでは。にもかかわらず、それこそがキツネの本性と決め付ける人がいるらしい。それは、勝手な思い込みではないかと思うが、そうは考えない人が結構いるらしい。
なんだかね。
狩猟といえば、普通、その対象はキツネ。
肉狙いではなく、襟巻き用だから、種の狙い撃ち。従って、キツネがヒトを恐れるのは当たり前。ヒトにしても、キツネとは家畜の鶏を襲う憎っくき侵入者である。どう考えたところで、家畜化やペット化したくなる野生動物の範疇には入ってこない。
この状態が長く続いてきたのだから、今になって、突然、両者が仲良くできないのはキツネの本性と言い出されたのでは、キツネもとんだ迷惑。
おそらく、自説を展開するため、都合よくキツネの習性を解釈している人がいるのだ。まあ、どんな学説を展開したいのか知らないので、なんともいえないが。
そうそう、環境が変わってくれば、キツネの態度が変わることなど、皆さんご承知の筈。キタキツネに餌を与えないで下さいとの看板は珍しいものではなかろう。もちろん、キツネ放し飼いの観光地もある。
狩猟大好きな長い歴史がある地域でも、それが廃れれば、驚くような変化が生ずるもの。実際、餌付けした上で、二本足で立たせることもできるのだ。タヌキも同じように、可愛いしぐさでヒトを喜ばせたりするもの。ただ、キツネは単独行動者で、タヌキは家族行動を重視しているようだから、ヒトへの慣れ方は自ずと違う。定住者側から見れば、キツネの方が餌付けは難しく感じるだけのこと。
小生にしても、昔、秩父の農家の庭でキツネ君の訪問を受けた経験がある。暗闇の中、屋外で星を見ながらお菓子を食べていたら、2m程度離れて徘徊し続ける動物に気付いてビックリさせられたのである。二匹も犬を飼っているお宅なのに。
こうして考えてみれば、この手の野生動物を、ヒトになつかない習性ありとするのには無理があろう。我々が、キツネを「なつかない」動物と見なしがちなのは、ヒトが考えている以上に、頭が働くというだけの話。間抜けな動物は、その習性を見抜かれてヒトに利用されてしまうが、キツネはヒトの真意を見抜く力があるだけのこと。
(記事)Animal lover baffles experts by training foxes to stand on their hind legs (small clue: feeding them helps) By Andy Dolan UPDATED: 07:09 GMT, 17 April 2009 MailOnline
(ホームページ)宮城蔵王キツネ村HP(100頭をこえるキツネが放し飼い)