先日、「People」の翻訳話を取り上げたので、今度は、「Easy Japanese Cooking」で。
はて、これをどう翻訳するか?
「簡単な日本料理」としたくなるかな。
しかし、日本人の常識だと、それは多分無理。
野菜に着目したバージョンの、「Easy Japanese Cooking」という本で、どんな料理が並んでいるかご紹介してみよう。
以下、各カテゴリーから1つだけ料理をピックアップしてみたもの。
●カレー・・・
ナスとココナッツミルクのカレー(Eggplant and Coconut Milk Curry)
●サラダ・・・シーザーサラダ(Ceasar Salad)
●一品・・・エンダイブのソテー(Endive Sauté)
●主菜・・・ニンニクとアンチョビのピザ(Garlic and Anchovies Pizza)
●スープ・・・ガスパチョ(Gazpacho)
●パスタ・・・タマネギとオリーブのフェットチーネ(Onion and Olive Oil Fettuccine)
上記を、日本国内で、日本料理と呼ぶ日本人は滅多にいないのでは。
しかし、この本は、まぎれもなく、「Japanese cookbooks」の一冊なのである。
日本にわざわざ行かずに、料理を試せるというのがウリらしい。
従って、小生は、こう訳したら如何かと。
「お気軽日本人が作る料理」。
ただ、誤解なきよう。
上記の本には、日本人以外には好かれそうもない料理も掲載されている。もちろん僅かだが。
例えば、ホウレン草のお浸し(Spinach Ohitashi)。余程よく洗い流さないと灰汁感が気になるだろうし、油無しだから味気ない感じがするだろう。それに、初めて嗅ぐ削り鰹節の香りが心地よい筈はないと思うし。
そうそう、表紙の写真はバター・胡椒・醤油風味の豆腐ステーキ。トッピングは、刻み大蒜・大葉(紫蘇)入りの炒め韮。これなら、お気軽な新日本食の典型と言えそう。
こういった本の作り込み方こそ、一番のJapaneseらしさ。
(the book) Easy Japanese Cooking: Veggie Haven by Kentaro Kobayashi, Vertical (October 20, 2009)