■■■■■ 2012.5.9 ■■■■■

 化石人類時代を想像してみると

「nature」(3 May 2012)のCover Storyが、「地球上に住み着く:人類の初期の移動に関する新しい手がかりと新たな論争」。この話題、そろそろ頃合と見たようだ。
ご存知のように、この分野、見方がそれこそガラゴロと変わっている最中。と言っても、未だに、互いに矛盾する話も少なくなく、これからも紆余曲折を経て、データが欠乏してきたころに、なんとなくおちつくところに収まるのだろう。もっとも、正しい結論に到達するとは限らないが。まあ、それが科学というもの。

人類大移動仮説はそれはそれとして、ここのところの様々な発見で、「思った通り」感を覚えた仮説は、現存人類はネアンデルタール人(ヨーロッパ中心で、せいぜい西アジアから中央アジアまでだったが、ロシア北部への進出という見方もあり、どうなることやら。)や、その類縁のデニソワ人(シベリアのアルタイ山脈出土)と交雑していたというもの。
2010年頃だったか、メラネシア人にデニソワ人のゲノムが組み込まれていたとの報道が初っ端か。

アジアの島嶼に住む人々は、生活スタイルから言えば土着型に映るが、不思議なことに、人種的には雑種。メラネシア人の場合、皮膚が色黒なのに金髪という人がいる。もちろん、現代の西洋系人種との混血ではないのだ。大昔、なんらかの民族と混血したことを示唆している訳。
日本人にしても、土着的生活を好む上に民族意識が強いから、人種排斥感情が目立つのだが、その姿勢に反して人種的には雑種。古事記にも、天から降臨してくる神の一族と、各地土着の神の一族が、抗争を経て共存を実現したことが記載してあるくらいで、人種的混交は慣わしと見てもよさそう。従って、日本人も化石人類と混血していてなんらおかしくない。ただ、そんな化石が発見されていないというだけかも。
恐竜などいなかった、鰐は住んでいなかった、といった素人が考えても腑に落ちぬ説も、化石発見で徐々にくつがえされるもの。と言っても、それを定説にされると都合が悪い学者だらけだから、そうなるとは限らないのが日本の仕組みだが。

しがらみが無く、雑学的に色々な話を耳にしている素人なら、イマジネーションを働かせれば、氷河期を生き延びようとする人達の姿などすぐに見えてくるもの。生存最適地はアジアに決まっているのでは。もちろん火山列島。
日本は文明発祥地から遠く離れた辺境の地とされているが、発掘土器は世界最古クラス。誰が考えたところで可笑しな理屈。

ついでながら、化石人類と現存人類の違いだが、ド素人ならすぐにわかること。化石人類は勇猛果敢で運動神経も発達していて頭が切れるタイプ。これと比較すれば、現存人類は小さく幼い感じ。真似好きで好奇心旺盛ということ。従って、混血化とは、後者が前者の保護下に収まった感じだったと言えそう。ただ、肉食中心の高カロリー食の化石人類とは違い、現存人類は雑食性志向が強く、肉が少量でも生きていくことができた。飢餓状態でのカニバリズムも避けることができるし、圧倒的な強み。
だが、なんといっても大きな違いは頭の使い方。化石人類は、道具作りや、火の使いかた、生活の知恵では、圧倒的力量を持っていたので、現存人類はもっぱらそれを教わるだけだった筈。それこそが一大特徴。おそらく、現存人類は類稀なるコミュニケーションツールを持っていたのである。表情、しぐさ、単純な発声で、阿吽の呼吸で互いに連携を図る化石人類の文化に100%溶け込んでいるだけでなく、独自のツールとして「言葉」を持っていたのだと思う。そして、それを駆使すると集団の知恵が生まれることを知っていた。

どうしてこんな想像をするかは、ご説明不要かも。そう、日本人は化石人類との共存時代の感覚を未だに持ち続けているということ。苦味を愛し、旬の草を生で食べる民族は稀らしいが、その嗜好はひょっとすると化石人類との共同生活時代を思い起こすノスタルジーかも。もちろん、文化だけでなく、そのDNAも受け継いでいるに違いなかろう。従って、高カロリーの肉食を増やせば、化石人類の特徴が発現してくる筈。コミュニケーションスタイルも、言葉中心から、情緒的なものへと変わっていく可能性も否定できかねる。

(National Geographic 日本版)
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(BBC News, selected)
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