「Knocking on Heaven's Door」と言えば、古典的ロック。
バッジも拳銃も捨てるしかない、死を目前にしたヒトの言葉が印象的。
これが、今や、核物理本のタイトル。著者は、超ひも理論/超膜理論で知られるLisa Randall教授。
粒子消滅を異次元世界へのワープと考えている方だが、ド素人からすれば、他の見方もできそうに思うので納得感は薄い。と言うのは傲慢で、なんのことやら皆目わからんと書くべきか。まあ、背伸びしてまで、この辺りの理屈を考える必要もなさそうだし。
それに、ここら辺りは新興宗教の出番の感じ濃厚。下手に語ると誤解を受けそう。
にもかかわらず、ここで取り上げてみたくなったのは、数式を用いない5次元世界理論の解説本でありながら、ビジネス書と間違えそうな見出しの箇所にようやくさしかかったから。
「Bottom-Up Versus Top-Down」
(@ MODELING, PREDICTING, AND ANTICIPATING RESULTS)、
そして、
「Think Globally and Act Locally」
(@ ROUNDUP)。
膨大な費用をかけた巨大実験設備で、粒子消滅実験を徹底的に行い、早く自説の正当性を示してくれと、せかすための著作ならではの表現かと思ったが、どうもそうではなさそう。
素晴らしい業績をあげるためには、どのような頭の使い方をして、どんな姿勢で仕事に取り組むべきか、熱心に説いてもいるからだ。
カバーに掲載されている、Elon MuskテスラモーターズCEOの言葉は、そんな気分を表現しているのかも。・・・Lisa Randall's focus on the essential relationship between technology and scientific thinking prompts facinating debate, ---.
なにせ、ワープ話や認識論とからむお話だらけなのだから、まともに読んでいれば、創造性とは何か自然に考えさせられる。議論をしたくなるのは山々なれど、大人しく以下の部分だけ触れて、終わりにしておこう。・・・
Neither scientists nor artists are likely to be thinking about creativity per se when they do something significant.
要するに、創造的な仕事をしようということでなく、Focusedの世界に入れるかが勝負だというのである。「can't-help-but-think-about-it」、あるいは、「intently-concentrated-on-their-work」といった感覚。
もっとも、問題は、その集中力の源泉たるパトスの方かも。世俗的関心から離れ、狭い分野で何故何故問答で沈思黙考というのは、簡単にできることではない。もっとも、ずっと同じ分野で仕事をしてきたから、それをこの先も続けるしかないということでのンバリズムを発揮する人はいくらでもいるが。それを集中力と考える人も少なくないが、どんなものだろう。
(the book) Knocking on Heaven's Door: How Physics and Scientific Thinking Illuminate the Universe and the Modern World by Lisa Randall (Sep 20, 2011)