同性婚問題に対しては留保姿勢を示してきたオバマ大統領が、突然、TVのインタビューで同性婚を支持と発言。就任直後は40%だった同性婚支持率が、この3月のWSJ/NBC調査では49%に上昇したことにいち早く反応したということらしい。この流れに乗って、若者を選挙運動に動かそうということか。
一応は、副大統領の早々の同性婚支持表明のあおりを食ったとされてはいるものの、CBS/NYTの直近の調査でも、世間は「政治的動機による表明」と見ているようだ。
それを見透かすかのように、すかさず、Newsweekが「The First Gay President」と揶揄し、New Yorkerも表紙を虹色の柱のホワイトハウスの絵にするなどしており、はたしてこうした動きがどんな影響を与えるのだろうか。まあ、こういう問題を選挙の争点にしたいと画策する人が少なくない訳である。その目的は千差万別だが。
どうしてここまで同性婚の是非にこだわるのか、不思議な感じがする。他のキリスト教国ではこの問題での対立先鋭化を避けており、柔軟な対応に徹しているにもかかわらず。
そんなことより、経済運営の方を、しっかりと議論して欲しいもの。
特に、第二期のオバマ政権はどちらに向かおうとしているのか、さっぱりわからないからである。それこそがオバマ流ということかも知れぬが。
一方の、ロムニー候補は単純明快だからなおさら。言うまでもないが、昔からの、規制緩和と小さな政府。民間部門の投資で雇用増進を図るといった思想。
当然ながら、投資家はロムニーをかうことになろう。Bloomberg調査によれば、ダブルスコアの差。
但し、それは国内で通用する話で、海外では全く逆だそうである。約3対1とオバマ支持だらけ。
金融分野の規制を野放しにしかねない自由市場派はコリゴリということなのだろうか。しかも、メルケルとドラギの欧州コンビのように、頑固一徹、政府の赤字削減に邁進することもなさそうだから、経済冷え込みに進む恐れが薄いから安心だし、というところか。
だが、一見プラグマティックに映る姿勢だが、Krugman型の財政赤字を気に止めないバラマキ路線が一番お好みで、チャンスあればその方向に転ずる可能性もあるのでは。同性婚支持と同じで、都合が悪いから、本心を言わないだけかも。突然にして、経済政策も進化したと表明する可能性もなきにしもあらず。なにせ、二期目なのだから。
もしもそうだとすれば、インフレ率を今より高め、輸出産業振興のためのドル安政策を追求する可能性もありそうだが。
こんなことをされるとたまったものではない。そうならないことを願うのみ。
ともあれ、米国金融業界がどうにもならなくなっているのは紛れもない事実。「自ら生み出した複雑な金融商品の市場で自分自身があまりにも大きくなり過ぎ」コントロールできなくなってしまったからだ。何時破裂するかもよくわからぬ、とんでもない自爆装置を抱えこんでしまった訳である。
事態の深刻さがはっきりしていないが、このまま進めばエライこと。なにせ、1社がとりしきる世界であり、外からどころか、内部でも全体像を理解している人が限られているのだから、対応は大変な話。
この問題に関するオバマとロムニーの問題認識能力には差がありそうだし、対応方法についても全く違いそうな感じがする。
海外と国内での支持パターンが正反対なのは当然かも。
(記事)
【Q&A】オバマ大統領の同性婚支持表明が意味するもの Washington Wire 2012年 5月 11日 14:44 JST ウォール・ストリート・ジャーナル 日本版
バイデン米副大統領がオバマ大統領に謝罪、同性婚への支持表明で2012年 05月 11日 15:06 JST ロイター
ロムニー氏、女性支持率で逆転 オバマ大統領を上回る 2012.05.15 Tue posted at: 16:27 JST Cable News Network
世界の投資家、オバマ大統領支持がロムニー氏を上回る−調査 2012/05/11 12:00 JST ブルームバーグ
焦点:米JPモルガンの多額損失、自ら生んだ金融商品市場に問題 2012年 05月 15日 13:52 JST ロイター