■■■■■ 2012.5.18 ■■■■■

 自閉症児童教育には教えられる点多し

小生、Dustin HoffmanとTom Cruiseが演じた「Rain Man」に感動したクチ。

映画の最後の方で、子供の頃に「Rain Man」に遊んでもらった頃の記憶が突然蘇るシーンがあるのだが、そこでふと思ったことがある。・・・ひょっとすると、何万年も前、自閉症が人類の多数派を形成していたのでは。もちろん、現在の主流派もいたが、当時はあくまでも少数派。集中力を欠く種族であり、幼稚と見なされ、子供のように暖かく庇護されていたのかも。

自閉症の特徴の一つは、概念把握ができないこと。そのかわり、一つのことに「超」集中することができる。しかも、記憶能力たるや無尽蔵かと思うほど。

そんなこともあって、自閉症児童教育の話には興味がある。
正直なところを言えば、潜在力がありそうな研究者・エンジニアのモノの見方を広げる方策に関心があるからなのだが。
なんとなくというレベルでしかないが、自閉症児童の世界を広げる教育が参考になりそうな気がするのである。

その真意は言葉だけでは伝わらないかも知れぬが、こういうこと。・・・
凡才は、一般的なモノや原則から、特定の応用へと進める。なかなか巧者な仕事ぶりとは言えるが、どうも今一歩。「一般的」とは他人の知識でしかないからだ。はっきりいえば真似。その適応先が多少違うと、オリジナリティありとされるだけ。素晴らしい発想だと感じさせられる例は少ない。
これに対して非凡とされる人は、とっかかりから違うことが多い。突然、特定のものから入るのである。そして、それを一般化。逆なのである。ただ、成功例の多くは、そこで得た原則を考え抜いたあげくに、再度特定応用へと落とし込むタイプ。ここだけ見ると平凡な人と同じような発想と言えないこともない。

自閉症児童の超収集力が生まれるのは、特定のものしか目に入らない体質にあるとされる。ところが、ある時、突然にしてそれを一般化できたりするそうだ。そんな時、周囲が驚いて、天才現ると騒ぐ訳である。非凡な研究者・エンジニアの発想方法と似た部分がありそう。

ご参考に、最近刊行された本に掲載されている、言葉と行動で教えるべき5点を挙げておこうか。
1 ある状況にはひとつ以上の見方がある
2 問題にはひとつ以上の解決がありうる
3 アイデアには別の表現のし方と交換のし方がある
4 たいていのことにはひとつ以上の"正しい"やり方がある
5 コミュニケーションにはわたしたちが見聞きする以上の意味がある

(本)
エレン・ノットボム(香川由利子訳): 「自閉症の生徒が親と教師に知ってほしいこと」 筑摩書房 2012/03/15
エレン・ノットボム(和歌山友子訳): 「自閉症の子があなたに知ってほしいこと」 筑摩書房 2011/01/25
テンプル・グランディン/ショーン・バロン(門脇陽子訳):「自閉症スペクトラム障害のある人が才能をいかすための人間関係10のルール」 明石書店 2009/06/01
(当サイト過去記載)
化石人類時代を想像してみると(2012.5.9)
瞬間記憶力の本質は何なのだろう(2007.12.9)


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