■■■■■ 2012.6.1 ■■■■■

 ムカシトンボが醸し出す郷愁感

なんかそんな気がしていたのだが、やはりそうか、と感じたニュースに出会った。
その対象は、日本の固有種「ムカシトンボ」。興味のない方は、なにそれ、だろうが。

と言うことで、ちょっと解説。
一般的には、トンボは2種類。昆虫好きでなくても、両者の違いは見ればわかる。要するに、オニヤンマ、ギンヤンマ、赤とんぼ(アキアカネ)、シオカラトンボといった手のトンボと、糸トンボ類の2群。個体の大きさの話ではない。そもそも飛び方が全く違うし、とまった時の姿も異なるのである。そう言われても、観察したことがない人にはチンプンカンプンか。

ただ、例外的にもう1種類ある。それが「ムカシトンボ」。両者の中間だとか。
珍しい種ではないそうだが、棲んでいるのが清涼な渓流。そんな場所でトンボ探しでもなかろうということで、小生は図鑑以外で見たことがない。1年寿命の赤とんぼと違い、寿命7年のうち空中生活は1ヶ月程度らしいから、一度は拝見したいとは思っているのだが。

名前でおわかりだと思うが、化石的トンボとされる。要するに、ジュラ紀の生き残り。
それよりは、トンボは最古の昆虫で、その代表格と言った方が感じがでるか。ついでに、トンボとは、空中初飛行動物と書くとさらにインパクトがでるかも。

長々と書いてしまったが、小生は、こんなことがえらく気になる。高校生の時は生物クラブ員だったせいもあるが。但し、昆虫採集には全く興味無し。もちろん志賀昆虫社に行ったりはしたが。

前置きはこれくらいにして、ニュース。
ムカシトンボの遺伝子を解析したところ、日本、中国東北部、ネパールがほぼ同じだったそうである。近縁種とされていたヒマラヤムカシトンボは全く同じトンボと考えてもかまわないということのようだ。
このことは、日本と大陸が陸続きだった約2万年前、ムカシトンボは広く棲んでいたことになる。

小生は、これを読んだ瞬間、「やはりそうか」とピンと来た。

トンボを称えるのは、世界広しといえども、日本位のもの。昔々の伝統をできる限り引き継ぐ体質の民だから、この昆虫、ただものではない。氷河期に日本列島に一緒にやって来たことの記憶が残っているのではなかろうか。
だからこそ、銅鐸に描かれるのでは。もちろん、それだけではない。古事記では、島生みで、本州の名称を「大倭豊秋津島」としている。大長谷若建命(雄略天皇)もその名称を称える歌を詠んでおり、蜻蛉の力に感ずるものがあったようだ。

(記事)
「生きた化石」ムカシトンボ 2万年前、広域に生息 2012/5/31 6:00 日本経済新聞〔共同〕
北大、「生きた化石」ムカシトンボの由来を解明 日本を代表する「生きた化石」ムカシトンボの由来が明らかに 2012/05/31 日本経済新聞 (プレスリリース)


(C) 2012 RandDManagement.com    HOME  INDEX