■■■■■ 2012.6.7 ■■■■■

 海外メディアが伝える株主総会の面白ニュース

反企業運動の絶好の標的である野村證券の持ち株会社株主総会案内に、「物言う株主」1名が提案した18もの議案が記載されたことが一部で話題になっているようだ。
もっとも、日本の新聞記事は見かけないが。

まあ、記者に限らず、野村さんにお世話になった人は数知れず。たちの悪い冗談を巡っての記事なととても書けるものではなかろう。
なにせ、面白いと言っても荒唐無稽な内容なのだから。もちろん、反企業運動系のものでもない。少しご紹介しておこうか。

多分、一番人気は、「オフィス内の便器は全て和式とし、足腰を鍛錬し、株価四桁を目指して日々ふんばる旨定款に明記するものとする」との提案だろう。
その理由が奮っている。
「貴社はいままさに破綻寸前である。別の表現をすれば今が『ふんばりどき』である。営業マンに大きな声を出させるような精神論では破綻は免れないが、和式便器に毎日またがり、下半身の粘りを強化すれば、かならず破綻は回避できる」というのだ。
ヘトヘトになるまで働いて靴を履き潰す営業マン文化を知ってこそのお話。
ただ、これは和式を知らない海外の人達へのウケ狙いといったところか。ハイテクトイレで知られる国の、「和風」とはどんなものか気になるのは間違いないからだ。それを通じて、経営状況悪化を指弾する株主の存在を知らせようとの目論見だろう。
このライター、なかなかの知恵者。

もちろん、お笑いネタも用意している。棘だらけではあるが。・・・株主総会の会場は狭く、脇の下の臭いがきつい株主も多いから、恒例の万歳三唱をやめるようにとのご提案。
経営方針について文句の一つも出さない株主達へのキツイ皮肉。臭い総会はたまらぬというのである。

さらに輪をかけた皮肉も。
「会社の略称を『YHD』とし、営業マンは自己紹介をする際に『野菜、ヘルシー、ダイエットと覚えてください』」というくだりがあるのだ。確か、野菜ビジネスに手を染めていたのでは。
業績悪化で株価下落の企業が野菜ビジネスか。なんだかねというところ。

この株主氏、下がる株価にいたくご立腹のようだ。
役員に報酬の一部として新株予約権を付与するなら、「株主とリスクを共有する」気になってもらい、「一株を5000円で買い取る義務を付与」すべきと主張。ハハハ。そうそう、確かに、昔ならそんな株価でおかしくなかった企業なのである。

なかなかよくできている議案と言えよう。・・・会社の名称を短くすれば「年間1000人日の人件費」を節約できるゼといった日本企業文化への批判もあれば、公募増資を止めろとのいかにも株主らしい提案も加えたりしているのである。

株主のイライラもわかる。
優良銘柄の筈にもかかわらず、株価が低水準をさまよっているからだ。
それはこの企業だけの話ではないが。財務体質が大幅に改善している企業だらけなのに、この6月4日には、TOPIXがついに700ポイントを割り込み、28年半ぶりの安値をつけた位なのだから。
長期保有株主の溜息が聞こえそう。

(資料) 第108回定時株主総会 招集ご通知 野村ホールディングス株式会社
(WSJ日本版記事)
野村社員よ「しゃがみ込め」 株主が仰天の提案[Frustrated Shareholder Proposes Nomura 'Hunker Down'] by Yoree Koh and Daisuke Wakabayashi 2012/6/1 20:44
「『野菜』に社名変更」「便器は和式に」=個人株主の珍提案に困惑―野村HD 2012年 6月 4日 20:12 [時事通信社]
(ロイター記事)
「会社のトイレを全て和式に」、野村HDの株主が珍提案 2012年 06月 4日 14:07 JST
コラム:「珍提案」があぶり出す野村と株主の弱点 By Antony Currie 2012年 06月 5日 18:00 JST


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