6月初旬、エリザベス女王(Queen Elizabeth II)戴冠60周年(Diamond Jubilee)のお祝いで、英国は4連休。
(6/2) ダービー。
(6/3) 巨大昼食会。テムズ川川下り。
(6/4) BBCの宮殿コンサート。灯台点灯イベント。
(6/5) セントポール大聖堂での特別礼拝とウェストミンスターホールでの昼食会。
馬車パレード後に宮殿バルコニーからのご挨拶。
ハイライトは言うまでもないが艦艇の大行進。日本でも中継放映された。
一昔前なら、大英帝国海軍の一大ページェントだった筈だが。それが、今や、国家予算ゼロでの各種船舶のパレード。
奏でられた音楽の方は定かではないが、想像がつく。これぞ英国流の愛国心の発露用という定番があるからだ。以下のようなものだが、流石、海洋覇権追求型民族。帝国軍最高司令官を称え皆で盛り上がる訳である。実に味わい深いものがある。
「洋上生活」(A Life on the Ocean Wave):
大英帝国海軍/海兵隊(The Royal Navy & Royal Marines)行進曲
「威風堂々」(Pomp and Circumstance)/
「希望と栄光の国」(Land of Hope and Glory)から一節---
By Freedom gained, by Truth maintained,
Thine Empire shall be strong.
自由により得られし、真実によりて、保たれし、
汝の帝国は強盛となるべし
「ルール・ブリタニア」(Rule, Britannia!)から一節---
Rule, Britannia! Britannia, rule the waves:
Britons never never never shall[will] be slaves.
統べよ、ブリタニア! 大海原を統治せよ
ブリトンの民は 断じて 断じて 断じて 奴隷とはならじ
「エルサレム」(Jerusalem)から一節---
Till we have built Jerusalem,
In Englands green and pleasant Land.
ぼくらがエルサレムを打ち建てるまで
イングランドの心地よいみどりの大地に
「ゴッド・セーブ・ザ・クイーン」(God Save the Queen)から一節---
Send her victorious,
Happy and glorious,
Long to reign over us,
God save the Queen.
君に勝利を
幸福を栄光をたまはせ
御世の長からむことを:
神よ女王を守りたまへ
さて、日本だと、どういうことになるのだろうか。
「軍艦行進曲」は誰でも知っているが、パチンコ店の営業促進用メロディーか耳をつんざく街宣車が流す音というイメージが強すぎる。海上自衛隊の儀礼曲だそうだが、帝国海軍時代の体験者でも、こうした大衆化には違和感を覚えるものらしい。まあ、当然かも。
そうなると、「君が代」。
しかし、その演奏テンポはゆったりしたもので、軍隊の行進には合うまい。しかも、歌詞も実に平和的。世界を統治しようとの覇気を感じさせない内容である。天皇の御代が自然と同じようにいついつまでも続くことを祈ろうというのだから。気分を共有している民の情緒的一体感は生まれるとはいえ、軍隊的な戦闘意欲高揚につながりそうなフレーズはどこにもない。
大英帝国海軍をモデルとしていた、大日本帝国海軍は「君が代」をどのように扱っていたのだろうか。
まあ、英国王室と、日本の皇室は、そもそも出自からして全く違うし、役割もまったく異なるから、比較すること自体がおかしい訳だが。
下手に真似たりすると碌なことにならないということか。
と言っても、英国が真似したくなる対象でなくなって久しい。交易ルードを守る役割を果たせる力が現行海軍にあるとは思えないし、これから、さらなる軍事費削減が進む訳だし。そんな衰退路線の後追いモデルはご免蒙りたいもの。
(Official Website) http://www.thediamondjubilee.org/
(TV番組) 独占生中継! 英国王室エリザベス女王 即位60年記念祝典 2012年6月3日(日)22:00〜23:55 BS日テレ