マスコミは相変わらずの政局報道一色。
おかげで、底流の動きが全くわからない。しかし、ある程度は想像がつく。
どうも、民主党支持のコア層が見切りをつけ始めたようである。
なにせ、政党支持率が8%なのだ。ここまでくれば、政権交代マニュフェストを喧伝していた人達のなかにも、愛想尽かしに至った人は相当いそう。
もともと、民主党大勝利の選挙にしてから、ポピュリズム的マニュフェストが奏功したと言うより、多くの人が自民党政権に飽き飽きした結果と総括すべきだろう。それが今度は民主党に回ってきた訳である。
しかし、離脱を始めた民主党コア支持層の感覚は、それとは異なるのではなかろうか。
政権交代選挙での勝利を、マニュフェストに流れている心情が人々の琴線に触れた結果と思っている可能性が高いということ。そうでなければ、あれほどの支持を得ることができる訳がなかったと考えてもおかしくあるまい。
そんな人達にとっては、三党合意は、政権交代時の心情を踏み躙るものに映る筈。増税しないという約束を破ったということもあるが、それより、社会保障の理念を変えたことが衝撃的。
中バラマキの自民党だが、社会保障に関しては、あくまでも自助精神を基盤にした政策を打ち出してきた。小さな政府的ニュアンスを残しているというより、無い袖はふれぬというだけ。三党合意とは、これを確認したことを意味する。
民主党型政策とは国による全面的保障の実現だから、大バラマキで、将来的には大増税の路線。もちろん、富裕層や企業からとれるだけ取るということ。自民党の発想とは、まさに水と油。にもかかわらず、両者が合意したということは、どんな協定文面だろうが、国による全面的保障路線の撤回以外にはあり得ない。
こうした根本理念上の対立を一番わかっている層が、三党合意に怒りを爆発させつつあるのは当たり前。政権交代の意味がなくなってしまうからだ。
しかも厄介なのは、三党合意が密室協議で生まれた点。もともとの民主党案とは全く違うのに、審議をほとんどせずに採決に持ち込もうという姿勢は、労働組合にとっては大問題。理念を捨て、ともかく増税という動きだから、猛反発は避けられない。
21日の採決は無理となったのも、そりゃ当たり前だ。労働組合内では、非民主党系の反主流派から、中間層狙い撃ち増税と社会保障の理念放棄を許すのかといった批判の矢面に立たされるのだから。三党合意に賛成すれば、第二自民党化容認勢力とレッテルを貼られかねず、積極的な民主党支持を見合わせる労働組合続出では。
こうなると、民主党の手足となって選挙運動に参加する人達が離れていくことになる。この層はマスコミ報道に動かされる訳ではないから、下手をすれば、反民主党候補支援を始める可能性もなきにしもあらず。
もし、そんな動きが始まってしまえば、民主党は対処のしようがなかろう。選挙資金が豊富だから、宣伝での乗り切り策を模索することになるが、それはかえって逆効果。壊滅的敗戦を招きかねない。
一方の自民党だが、保守的な色を強めただけで、それ以外はほとんど何も変わっていない。従って、今のままなら民主党惨敗で政権交代前に戻るだけ。財務改善も進まず、TPPも知らん顔の政治に陥る訳で、日本の閉塞状況はますます深まることになりそう。
(当サイト関連) バラマキ政党大連立時代が始まるようだ(2012.6.22)