■■■■■ 2012.6.30 ■■■■■

  日本の将来像として参考にしたい国

政権交代以来、延々と緊張感なきゴタゴタ政治が続いている。

なんといっても圧巻は、マスコミ全社の応援キャンペーンを背景にした、挙国一致での、消費税増税法案の可決。しかも、真面目に是非を議論する人がいたりするから、大笑い。
事実上破綻している財政を、なんとか立て直さねばというのは当たり前の話。しかし、雀の涙増税で対応できる訳もなく、単なる問題の先送りでしかない。
増税反対勢力にしても、財政再建など眼中になく、超バラマキの精神に反する所業は許せぬというのだから、まさに漫画絵。

要するに、グローバル企業の頑張りをいいことに、これ幸いと、皆で骨の髄までしゃぶりつくそうという訳。ただ、金の卵を産むガチョウを殺しては元も子もないから、どうするかで大喧嘩になるだけのこと。
もっとも、それも難しくなってきたと感じる人が増えており、そうなったら、日銀の国債引き受けでなんとか打開しようということのようだ。早い話、財政再建などできる訳もないから、無理矢理のインフレ化で借金棒引きしかなかろうということ。ジャブジャブとカネが溢れかえれば、当座、投資運用で大儲けできるから、是非にもという声も大きいし。その後に悪性インフレが来ようと一向にかまわぬという訳。

後は野となれ山となれ路線で結構というトンデモない輩だらけ。
そんな状況でありながら、国のビジョンをと叫ぶのだから、何を考えているのだろうか。まあ、問題を直視しないで済むという点では大いに使える手ではありそう。

ところで、多くの人が「望ましい」と感じている国とはどこなのだろう。一寸、考えてみたくなった。

●最近は脱成長経済が好ましいと考える人が増えているようだ。物質的生活レベルは落ちたところで、食べていければ楽勝ということ。そんなことができると思っている人がいるのだから、緊張感なき政治が生まれて当然である。
民度が保たれ、失業率が低いなら、悩みなき生活を送れると考えていそう。
そうなると、こんな国が当てはまりそう。
  ・識字率:99.8%(日本:99%)
  ・教育費:GDP3.6%(日本:3.5%)
  ・ヘルスケア費:GDP11.8%(日本:9.3%)
  ・失業率:1.4%(日本:4.6%)
  ・若年層失業率:3.1%(日本:9.1%)
モノは豊富ではないが、寒い気候ではないから、お気楽に生きていけるとの評判を耳にする国である。難点は健康維持に気を遣わず、長生きしないことか。
  ・平均寿命:77.87歳(日本:83.91歳)
そう、おわかりだと思うが、これはキューバ。言うまでもないが、GDP per capita @ PPPは桁違いに低く、$9.900。
日本におけるLOHAS志向とは、キューバ礼賛に近いのかも。軍事費はGDP3.8%の独裁国だが。

●そうそう、北欧諸国を目標にしたい人も少なくない。自由主義経済がとことんお嫌いな学者達に人気がありそう。大増税でも社会保障がしっかりしていればよいではとの、都合のよい主張を繰り広げるには最適モデル国。
言うまでもないが、北欧諸国はいかにして独立を維持するか思案を巡らしてきた。安全保障が、これらの国では最重要課題。そこに全く触れず、北欧礼賛をするのがこうした人達の手。・・・デンマーク(軍事費GDP1.3%)、ノルウェー(軍事費GDP1.9%)は相互防衛協力を旨とするNATO加盟国。一番お嫌いな体制ではないかな。
非加盟国でも軍事費は結構な負担。日本のような、軍事費GDP1%シールドの不文律ではとても無理。
  ・スェーデン:1.5%
  ・フィンランド:2%
スェーデンなど、ご存知のように、防衛産業も重要な輸出産業。
そもそも憲法で軍隊を否定する国が、北欧の真似など夢物語。

●そうなると、軍事費GDP1%程度の欧州の小国を参考にしたくなるか。日本は小国に徹すべしという意見が幅をきかせているようだし。
  ・軍事費:GDP0.9%
  ・識字率:100%
  ・失業率:5.9%(日本:4.6%)
  ・GDP per capita @ PPP:$84.700(日本:$34,300)
羨ましくなるような富んだ国である。都会人口率が85%(日本:67%)の都市国家的な小国だと、こんなことも可能。都会にぶるさがる地方だらけの国ではおよそ無理。
まあ、その割に平均寿命は79.75歳(日本:83.91歳)と低いのだが。国が健康の面倒をたいして見なくてもよいから、こうなる訳なのだろうか。日本の多くの人の好む気風ではなさそう。どこの国かって、・・・皆さん、ファンドでお馴染みのルクセンブルク。

●ならば、軍事費GDP0.9%で、都会人口率が62%(日本:67%)の国かな。
  ・GDP per capita @ PPP:$39,500(日本:$34,300)
  ・識字率:99%(日本:99%)
  ・教育費:GDP4.9%(日本:3.5%)
  ・ヘルスケア費:GDP7.6%(日本:9.3%)
GDP per capitaはかなり上だが、なんとなく日本と似た感じがするのではなかろうか。ただ、平均寿命が80.32歳(日本:83.91歳)で、日本には届いていないが。
ただ、欧州だから、職はなさそう。
  ・失業率:14.4%(日本:4.6%)
  ・若年層失業率:24.3%(日本:9.1%)
この国は、島国、アイルランド。俗称、ケルトの虎は言うまでもなく過去の話。GDP per capitaも今後どこまで落ちるかわからず状態。
ご存知のように、金融機関救済で財政赤字額がただならない状況になってしまった訳である。それでも、国民投票の結果、緊縮協定批准ができたから、EU支援を得てなんとか資本市場に残れたそうだが、今後どうなるかはなんとも言い難し。
これぞ、他山の石。日本のメガバンクの驚くべき株価が暗示するのは、類似の事態なのでは。(たった今、気付いたが、すでに高利回り。市場はどう読んでいるのか気になるところ。)
と言うことで、お勧めモデル国はアイルランドでどうだろう。

(データ) CIA-The World Factbook, as of 2012


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