■■■■■ 2012.7.1 ■■■■■

  まともな栄養学に期待したい

ホホー。
ようやくにして、納得できる「健康的な食事」の話がニュースに登場。良質な炭水化物中心メニューが結構良い結果だったという話。
低脂肪や糖質制限といった食べ方のお勧めだらけで、嫌になっていたのだが、それから脱出できそうな理屈が生まれそう。歓迎したい流れ。

例えば、こういうこと。
(1)低脂肪メニューで善玉コレステロール値が低下
(2)低炭水化物メニューでストレスホルモンや体内炎症を示す物質が増加
一般論でこんなことが言えるものかは、はなはだ疑問だが、こうした悪影響はありえそうなこと。
尚、エネルギー消費量で見ると、低炭水化物メニュー>良質な炭水化物中心メニュー>低脂肪メニューだったそうである。

大規模な疫学的研究ではないから、どこまで信頼すべきデータなのかわからないが、さもありなんといった印象。
学者は、証拠なしで推定論拠を述べることができないが、素人なら、このデータだけで、どうしてこうなるか簡単に想像できる。

常識を働かせば、ヒトが必要とする栄養素で一番重要なのはブドウ糖。脳が消費するからだ。欠乏すれば脳死では。
脳内にはブドウ糖は蓄積できないから、糖分摂取を抑制すれば、体内組織に蓄積されている養分を分解して供給することになろう。当たり前だが、それに伴って、ブドウ糖以外の成分も体内に放出される。多くの場合、それは余分なモノ。臓器への負担は小さなものではなかろう。
一方、糖分を取りすぎれば、体内にできる限り蓄積しようとすることになる。言うまでもないが、内臓脂肪や皮下脂肪を増やすことになる。
従って、脳活動に合うようにブドウ糖を供給できるような食事をとるのが望ましいのは自明。

ただ、どの程度の量の摂取が妥当かは人によって大きく異なるのでは。
多少肥満に見えたからといって、糖摂取を控えた方がよいかは、なんとも。例えば、スポーツに興じたりすれば、全身の活動制御のために脳活動もフル活動するだろうから、糖分供給を怠らないようにしないと大いにまずかろう。と言っても、その脳活動レベルは訓練で相当に変わっている筈で、個体毎に千差万別の筈。一概に言える訳がなかろう。ただ、一般論でしかないが、普段の生活上は、長時間に渡って徐々にブドウ糖を放出できそうなメニューの食事が望ましいとは言えそう。

同様に、脂肪摂取は碌なことはないと見なし、矢鱈に減らすのも考えもの。脂肪がついている肉は敬遠されがちだが、そんなことをすれば、良質の蛋白質摂取量が不足する可能性もある。脳の維持にはアミノ酸は必須であり、不足すれば、体内蓄積物を分解するしかない。そんな活動は体にとっては相当な負担になる筈。野菜をいくら摂取したところで、必要なアミノ酸を供給できる訳がないし。
それに、脂肪の分解成分には脳活動に重要な成分が入っている。無闇に減らせば、悪影響は避けられまい。

ヒトの特徴は脳が大量にエネルギーを消費する点。健康維持には、脳活動の恒常性に悪影響を与えないことが最重要なのでは。
運動をすることで筋肉細胞の健全性が維持できるのだから、脳にしても、徹底的に使わなければ能力は低下するに違いない。その活動を支えることができるような食事をすべきだろう。
その観点では、おそらく、健康維持あるいは老化抑制に一番効果があるのは、脳活動に悪影響を与えそうなストレスを避けること。気分が乗らず、食欲がなくなったりするのは最悪。日々ストレスに晒されながら、栄養学的強制でつまらぬ食事をさせられるのは如何なものか。
甘味やお酒がストレス緩和に繋がるなら、度を越さない限り、是認すべきものだと思うが。

(記事) 良質な炭水化物中心の食事が最良−3通りのダイエットで実験 2012年 6月 27日 15:32 JST WSJ日本版
(当サイト過去記載) 栄養学的強制は愉快なものではない (20120621)


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