■■■■■ 2012.7.9 ■■■■■

  国会事故調英文版の波紋

黙っているのかと思いきや、この9日、日経新聞が国会事故調報告の英文と和文の齟齬を報じた。
というと穏やかでないが、単に、フィナンシャル・タイムズの翻訳記事を掲載したに過ぎない。海外メディアに対応した委員長記者会見報道というだけの話。

しかし、"国会の命を受けて福島の原子力災害を調査した調査委員会の委員長は、事故は「日本文化に根差した慣習」によって生じた「日本製(メード・イン・ジャパン)」の危機だったと断じた。"と書かれればインパクトは小さなものではなかろう。
(尚、報告書英文原文は、it was a crisis “Made in Japan” resulting from the “ingrained conventions of Japanese culture.)
言うまでも無いが、このような記述部分は日本語版には無い。
波紋が広がるかも。日本文化にどっぷり漬かっているマスコミがそれを見てどう動くか見もの。オリンパススキャンダル同様に海外紙だけが報じ、国内では黙殺もあり得るが。

英文版の言わんとすることは、日本人全員が問題ある社会を変えていく必要があるという点らしい。こうした事故を二度と起こさないためにどうするかという直接的な話ではない。簡単に言えば、「一度決められた計画への固執」、「集団主義」、「偏狭性」を打破すべきということ。

日本で生活していれば、そう言いたい気分はわからないでもないが、背景の分析無しに、今回の調査結果だけで、そのような主張を展開するのは、飛躍ありすぎ。

だが、それが又日本人らしくてよかったかも知れぬ。英文を別仕立てにするというのは、日本人のズルさと常々指摘されてきたこと。国会事故調はそんな体質をそのまま受け継いでいるとも言えそう。

(記事) [FT]原発事故は日本の文化が招いた危機 2012/7/9 7:00日本経済新聞(2012年7月6日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) [Fukushima crisis ‘made in Japan’]FT
(当サイト過去記載) 国会事故調の報告書で感じたこと(20120707)
(国会事故調)http://www.naiic.jp


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