どこの国でも、マスコミは、まだ知られてなさそうな情報を拾ってきたら、それを注目を集めそうな記事に仕立て上げることは大得意。だからこそ、商売が成り立っているとも言えそう。
従って、冷静に記事を読むべしとのアドバイスが、並行的に登場しないと、間違った解釈が横行しかねない。
そんな典型例に出会った。乳製品系食品と糖尿病(II型)の大規模疫学調査(欧州)が発表され、それにマスコミが早速跳びついたのである。
・Cheese 'beats diabetes': Just two slices a day could reduce risk of developing the disease, study claims’ Daily Mail, July 24 2012
・‘Cheese 'could reduce diabetes risk'’. The Daily Telegraph, July 24 2012
・Cheese slashes risk of diabetes. Daily Express, July 24 2012
誰だって、このようなタイトルを見れば、ホホーそうかとなるだろう。・・・
・"Just two slices a day could reduce risk of developing the disease."
・"Scientists say the chances of developing type two diabetes could be 12 per cent lower for cheese lovers."
大概の人は、記事をよく読まず、勝手なところだけ鵜呑みにするもの。
「それじゃ、これからウチでも毎日チェダーチーズ2片を食べるか」となったりするお宅も多かろう。高脂肪チーズが大好きなのに、カロリーを考え控えていた人達も多いと思われるが、この報に接し、早速チーズの楽しみを復活させたりして。
そんなこともあろうかということで、NHSがわざわざ解説している。読めば、コトの真相がわかる仕掛け。
・Can a diet of cheese 'beat diabetes'? July 24 2012
"this large prospective study found no association between total dairy product intake and diabetes risk."という訳。
要するに、"analyses according to the individual products did not find significant associations, so any advice based on particular foods is likely to be misleading."なのである。
ただ、この内容じゃ記事にはならないよネ。
でも、ほとんどの人は、発酵食品を取り入れた食生活は健康に寄与すると思っている訳で、大規模疫学調査でたいした差はでなかったにせよ、差はあったともいえるのだから、モノによっては効果がありそうと受け取られても致し方なかろう。
もっとも、ただ、その食品だけ摂取すれば良いと考えている人は、おそらく、少なかろう。口には出さないが、効果が出るのは、なんらかの前提条件を満たしている人だけと薄々感じている筈。その辺りを早く解明してくれヨというのが一般感覚ではなかろうか。
それまでは俗説だらけになるのは致し方あるまい。