■■■■■ 2012.8.1 ■■■■■

  記録的な大雨は突飛なものではなかろう

7月23日にかけ、全国各地で水害が発生。
北部九州3県での死者・不明者は30人を越えたようだし、時期が時期だけに、その被害額は少なくとも1244億円にのぼるそうで、極めて甚大な災害。
当時発表された気象情報は「これまでに経験したことのないような大雨になっている」というもの。所によっては半日で50cmという信じ難い数字。この大量の水が一気に川に流れ込むのだから、逃げ遅れたら、とても助からない。南阿蘇-阿蘇-日田-八女-筑後-みやま-柳川-佐賀といったベルト地域をこんな豪雨が襲った訳である。当然ながら、100万世帯以上が避難せざるを得ないし、至るところ大洪水に見舞われた訳である。

しかし、気候的には特別な事象とは思えない。梅雨前線が張りだしていたところに、極く普通の台風4号が到来しただけに過ぎないからだ。例外的な気象条件が発生していたとは言い難い。
2011年にしても「記録的な大雨」は3回発生しているのだ。これから先も、どこかで、毎年のように発生する災害というにすぎまい。自然事象とはそういうものである。
だからこそ「ハザードマップ」なるものを作って、自分達の住む場所の危険度を予め知っておき、早期に非難する体制を作った筈だと思うが。

日本とは、もともと自然災害だらけの国土。今の地形も古くは全く違っていた訳で、その理由は色々だが、ともあれ安定した環境などあり得ないのである。
そんなことは、大昔からわかっていたこと。開墾すれば水害が酷くなるのは当たり前だし、地形的に湿地が氾濫で埋まってできた地域も多い訳で、人工的保全など「いとはかなき」世界である。被害を受けるか否かは知恵の勝負で決まるのではなく、確率的な話。
・・・「飛鳥川の淵瀬常ならぬ世にしあれば、時移り、事去り、楽しび、悲しび行きかひて、はなやかなりしあたりも人住まぬ野らとなり、変らぬ住家は人改まりぬ。桃李もの言はねば、誰とともにか昔を語らん。まして、見ぬ古のやんごとなかりけん跡のみぞ、いとはかなき。」(徒然草 第二十五段 岩波文庫)

これから、異常気象はますます増える筈。しかし、そうした自然の猛威に対し、人間ができることなどたかが知れている。
「ともかく最善を尽くす」といった情緒的な対応を止め、合理的対応に徹して欲しいもの。

(記事) 3県の豪雨被害1200億円超 福岡、熊本、大分 2012年7月28日 10:00 西日本新聞
(気象庁のサイト) 災害をもたらした気象事例(平成元年〜本年)


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