世の中、ロンドンオリンピック中継放送で盛り上がっていたようだが、小生は競技はほんの僅かしか見なかった。と言っても、他のことに関心があった訳ではなく、TV視聴がなんとなくうっとおしい気分だったからに過ぎない。
そんな状態だったにもかかわらず、驚かされたのは日本のサッカーチームの強さ。ご近所のパブで酵母がしこたま入ったビールを飲みながら、エジプト戦の一部を眺めていたのだが、確保したボールをわざわざ後列に戻し、戦列を整えながら、パスでぐるぐる回したりして、見るほうにとってはさっぱり面白くないゲーム展開だった。ところが、それをしているのが日本チームではなく、対戦相手なのである。日本チーム強し。これにはビックリ。
サッカーがサポータを伴う体制で始まった頃は今は昔だが、当時は、応援もなんとなく頓珍漢だったりして違和感があった。だいたい、日本は世界の競合にとても歯が立たない状況。しかし、ここにきて、ついに日本もワールドクラス入り。感慨無量の方も多かろう。
そんな状況を実現したのは、「なでしこ」の力ではなかろうか。文字通りチーム一丸になって、フランスの猛攻からゴールを必死になって守る姿はいかにも日本流。そんな耐え忍ぶ戦法が通用することを世界に示した訳である。
なんといっても、サッカーは、ゲームスポーツの世界標準。そこで世界に伍して戦えるようになったのは大いに祝福すべきこと。
まあ、その一方で日本の存在感を失った男子柔道のような分野もある。予想通りであるとはいえ、伝統競技だから、がっかりされている方も多かろう。しかし、それは、世界中で人気の格闘技になったことを意味していそう。それはそれで結構な話であろう。日本の体制は、そんな流れについていけなくなったということかも。他流試合の絶対的不足ということはないのだろうか。
それにしても、「なでしこ」に限らず、女子の力は遺憾なく発揮されたと言ってよさそう。
全参加国から女性アスリートが参加したという画期的な大会だったが、日本など女子が力を発揮しているような感じで、そこだけは誇るべき状況。もっとも、米国選手団は、女性の参加選手の方が多いそうで、そんなことに驚くような話ではないのだが。
そうそう、サッカーでは、ホスト国枠で登場した「Team GB」の登場には驚いた。いうまでもないが、今までオリンピックにはイギリスチームはでていなかったのである。もともと、サッカーはワールドカップ命の世界で、オリンピックはその人気にあやかったものにすぎないというのが通り相場。
それを取り仕切るFIFAには、国家であるUKではなく、4つのネイションズが個別に加盟しているため、イギリスチームは存在しなかったのである。結局のところ、各協会の独立性維持が重視され、イングランドチーム中心となったらしい。男子の場合、ウェールズの選手はメンバーに入ったが、スコットランドと北アイルランドはゼロなのである。
欧州社会の複雑さを垣間見た感じ。
そんなことを嫌でも思い出させてくれたのが、パリオリンピックに挑戦したスプリンターの姿を描いた「炎のランナー」のテーマ音楽の使用。この作品、題名から日本人が想像するのとは大違いの内容で、「スポーツ道」を一心不乱に進むスポコンものではない。宗教や人種の違いから発生する問題を絡めたもので、それをわざわざもってきたのである。流石、国家社会主義的なメダル争いを毛嫌いする国だけのことはある。1981年公開とかなり古いにもかかわらず、音楽ダウンロードとDVD販売が伸びているというから、目論見通り、それなりの反響があったようだ。
小生の場合、時間潰しに、飛行機内で何回か視る羽目に陥った映画だが、いかにも自己主張を大事にする欧州文化そのものとの印象が今でも残っている。日本人の姿勢は全く異なるから、強烈なインパクトを受けたということ。
お陰で、ロンドンオリンピックでも同じ感覚を再び味わうことになってしまった。日本で、人気が爆発した言葉を引用させて頂けば、その辺りの説明は不要だろう。・・・「表彰台に上った時は本当に夢かと思った。やっとここまで来たなという思いと、いろいろな思いがこみあげてきた。親には一番、感謝の気持ちがこみあげている。ありがとうという思いでガッツポーズした。日本チーム、国民の皆さんのために強い気持ちで演技した。金メダルは重たいし、一番輝いている。今も夢みたいで、ちょっと信じられない。これからも体操人生は続くので、演技で皆さんに恩返ししていきたい」。
(記事)
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