米国がアジアに軸足を戻して、米中対立の雰囲気が生まれつつあるとはいえ、両国は経済的には相互依存状況であり、ハードでの角逐は無理。ソフトでの対抗が始まることになるのだろう。
その第一弾が、7月のクリントン外交。かなりの圧力と見た。これで、中国共産党がどう変わるか見もの。
Although she never mentioned China, Ms. Clinton warned that China's model of authoritarian capitalism cannot be sustained,--- she declared: "You cannot over the long run have economic liberalization without political liberalization."
特に、薄熙来[重慶]-谷開来スキャンダルが、共産党高級幹部の腐敗状況を明らかにしてしまったタイミングでの発言だから、中国共産党にはボデイーブローのように効いてくる。
なにせ、家族を脱出させ、財産を海外に持ち出すのが当たり前との実態が、あまねく知られてしまったのだ。独裁政治の弊害であり、そんな国に未来がある訳が無いと言われれば返す言葉も無かろう。
従って、胡錦濤政権は任期最後の仕上げとして、利権がからまざるを得なくなるコネ人事の排除に注力するのではなかろうか。
時あたかも、第18期中央政治局の人事体制を巡る長老・幹部合同合宿「北戴河会議」開催。ここで、どこまで新しい方向を打ち出すことができるか。
と言うことで、人事予測に挑戦。
まず、現、第17期中央政治局員を見ておこう。
---常務委員--- 定年前:習近平&李克強
(1)胡錦濤 [総書記]、(2)呉邦国[全人代委員長]
(3)温家宝[国務院総理]、(4)賈慶林[政治協商会議主席]
(5)李長春[宣伝工作担当]、(6)習近平[副主席]、(7)李克強 [国務院副総理]
(8)賀国強[規律委員会書記]、(9)周永康[政法委員会書記]
---委員---
(2期目)兪正声[上海] 、張徳江[副総理&重慶] 、劉雲山[宣伝工作]
(1期目)劉延東[国務院] 、張高麗[天津] 、王岐山[副総理]
(1期目-次期定年前)李源潮[組織]、汪洋[広東]
(定年)郭伯雄、徐才厚、回良玉、王兆国、王剛、劉淇
(除外)薄熙来、王楽泉
さて、問題は、18期の人事プリンシプル。常識的には、こんなところかナ。
・既定の習近平/李克強体制安定化を最優先
-副主席/副総理の昇任
-中央委員→中央政治局委員→常務委員の昇格人事制度確認
(特進経験は習/李のみ)
-2期連続中央政治局委員は原則昇任で常務委員に
-定年例外者無し
(習/李以外の常務委員は退任)
・1期目の中央政治局委員はシャッフル
・規律委員会書記は総書記信任が篤く中立的な人物
そうなると、具体的には、無難な名誉職的任命(次期引退)と有能な常務委員起用ということになるか。
・習近平−李克強体制
・全人代委員長: 兪正声
・政治協商会議主席: 劉雲山
・副主席: 張徳江
・常務委: 王岐山、李源潮
ただ、上記代替もあり得る。
・政治協商会議主席: 劉延東(女性)
・宣伝工作担当: 劉雲山
・副主席: 張高麗
年次重視のお国柄。一番若いといってもせいぜいが1950年生まれらしい。
・若手起用: 汪洋
ニュースを読んでいると、挑戦的人事の可能性も囁かれているようだ。要するに、ご都合主義の結果定員が増えてしまった常務委を減員するという動きがあるという。要は、面子的な配慮だけのポスト設定は止めろということで、実力主義というか、実質本位でいこうという訳であろう。コネ的人事排除ということにもなる。
となると、こんな手がありそう。
・政法委員会書記の常務委員会からの除外
(コネによる恣意的な司法/公安体制から法治国家への第一歩)
・19期から宣伝工作担当の非常務委員化確認
・成果達成者活用: 胡春華[内モンゴル]、周強[湖南]、郭金龍[北京]
・党組織改革:令計画[中央弁公庁主任(総書記秘書)]、栗戦書[貴州]
・この反対方向: 孫政才[吉林]、孟建柱[公安]
まあ、ド素人だと、ロイター等のニュースとWikiをざっと眺めただけでは、この程度が限度。
それでも、こうして書いてみると、18期人事を見ると、中国のこれからの方向性が予測できそうな気がしてくる。
(記事) A proper pivot toward Asia By Editorial Board The Washington Post 2012/07/14