東芝がレアアース「ジスプロシウム」を使わないモーター用磁石を開発。
日経 「中国産レアアース使わないモーター用磁石 東芝が開発」 2012/8/16 19:13
上記日経記事のタイトルを見ていればどうということはない話。ところが、以下のような驚くべき表現が登場。これだけ読んだら、画期的な磁石が発明されたとしか思えないのでは。
産経 「東芝がレアアース使わない強力磁石を開発」 2012.8.16 18:20
朝日(日刊工業新聞) 「東芝、希土類使わず高性能なモーター用磁石を開発」 2012年8月17日5時1分
どの辺りまでを常識と考えるのかがよくわからぬが、見出しだけ読む人も少なくないのだから、誤解を与えるようなものは避けて欲しいもの。
まあ、無料二ュースは、この程度の質でかまわぬという新聞社もあるということかも知れぬが。
それくらいなら、質の悪いコメントをつけてもらうより、ニュースリリース抜粋の方が余程ましである。
レアアースのジスプロシウムを一切使用しないモーター用磁石を開発 2012年08月16日 東芝 ニュースリリース
要するに、「ジスプロシウム(Dy)」を使わないで、同等の耐熱性を実現した訳。日本の産業界が期待していた第一弾と言ってよいだろう。(言うまでもないが、ジスプロシウムは中国が産出量の97%を占めており、輸出規制を行った物質。需要は旺盛であり、なかでも自動車用モーターは耐熱性は不可欠だから、緊要な課題。)
ただ、レアアースとして、ネオジムではなく、サマリウムを使用しているから、性能とコストで、どこまで対抗できるのかよくわからないところがある。まあ、実装してみての勝負だとは思うが。
ところで、このニュースがついつい気になったのは、先日も関連ニュースが流れたから。・・・経産省は2年後までに、国内需要を半分に抑制するため、研究支援を行うと報じられたのだ。
レアアース消費半減へ技術開発支援 経産省
2012/8/10 10:27 日本経済新聞 電子版
それが何を意味しているのかはよくわからない。東芝の成果は、NEDOのプロジェクトにも依拠しているからだ。
「希少金属代替・削減技術実用化開発助成事業」 採択テーマ・・・Dyフリー磁石とそれを用いた高効率HEV/EVモータの開発:(株) 東芝
(参考)次世代自動車向け高効率モーター用磁性材料技術開発事前評価報告書平成23年7月産業構造審議会産業技術分科会評価小委員会 [経済産業省関与部門:製造産業局 非鉄金属課、製造産業局 自動車課 電池・次世代技術室、産業技術環境局 産業技術政策課 技術評価室]