北海道で、腸管出血性大腸菌O157に汚染された浅漬けが広範に出荷され、大規模な食中毒が発生。
100名を越えるという、一度に発生した罹患者数の多さもさることながら、いかにも、抵抗力が弱い高齢者や幼児が健康的ということで好みそうな食品だったため、重篤な患者が少なくないようだ。生肉系食品で腹を下せば、すぐにO157を疑うだろうが、そうでなければ単純な夏下痢と判断しがち。その結果、対処が遅れた可能性もありそう。そんなこともあるのか、残念ながら、死者が発生してしまった。
2012年8月15日現在で、累積発症報告数1,782例と、2007年以降最も少ない年で、これからこの疾病は減り始めると見た人もいたと思うが。
と言っても、北から南まで、そこらじゅうで発症ニュースだらけ。
・浅漬けO157 食中毒新たに4人 計118人、57人今も入院 2012/08/24 06:25 【北海道新聞】
・五所川原で5人がO157感染 2012/08/23 21:21 【東奥日報】
・O157感染、60代女性が重症 2012/08/10 17:52 【下野新聞】
・・・(栃木県内で)腸管出血性大腸菌の感染が確認されたのは今年に入り13人目
・O157感染の80代女性が死亡 HUS発症、「えびす」以来 2012/08/23 18:05 【福井新聞】
・O157に33歳男性が感染 名張市 2012年8月27日 16:16 伊賀タウン情報ユー
・・・今年に入って県内のO157感染者は27日現在で38人
・十分な加熱など呼び掛け O157集団食中毒で県 2012/08/23 10:43 【日本海新聞】
・・・鳥取県内では今年5人(今月20日時点)の感染が確認されている
・丸亀の60代女性からO18を検出 2012/08/24 09:46 【四国新聞】
・O157:6歳男児から検出 久留米市 毎日新聞 2012年08月23日 地方版
・O157:福岡市の男性から検出 毎日新聞 2012年08月10日 地方版
・大腸菌感染症最多ペース 鹿児島県が注意喚起 2012/07/26 15:00 【南日本新聞】
・・・今年の患者・感染者の内訳はO157が12人
罹患者が減ると期待されたのは、いうまでもなく、その危険性があまねく知られたから。焼肉屋の牛の生レバー食で発生した大被害で、ようやくにして。
しかし、浅漬けにそんなリスクがあろうとは露知らず、というところか。
言い換えれば、この手のO157感染のリスクは拡大中ということではないのか。
この細菌は牛糞に含まれており、特殊なものではない。しかも、厄介なのは、他の細菌と比較すると、極く微量でもヒトには強烈な影響を与える。
従って、徹底した屠殺場の衛生管理や、バラした肉表面の利用方法に細心の注意が払われることになる。この辺りはプロが担当する領域だから、それなりの対処を進めればなんとかなる。その結果が、本年度に入っての罹患数減少だと思われる。
しかし、野菜の領域はその手は全く通用しまい。牛糞を堆肥にする農法がもてはやされているからだ。もちろん、完全発酵させれば、O157は存在しない筈だが、それを見極める目を持っている人が管理しているとは限るまい。と言うか、出荷される商品が100%O157フリーと確信できる人はいそうにないということ。たった一個の野菜だろうが、汚染されたものが市場に入ってしまえば、その先、どうなるかは誰にもわからない。状況次第。
そうそう、そんな堆肥型農耕を進めているご近所で、小規模水耕栽培が行われていたりする可能性もなきにしもあらず。隔離されているから、原理的には汚染の可能性は無い筈だが、ヒトは平然と周囲を行き来していたりする。
ちょっと考えてみるだけで、発生確率は千差万別だが、様々なリスクがありそう。素人には全体像把握は難しいが、少なくとも、感染が広がる可能性は否定できそうにない。
(統計) IDWR 2012年第32号
<注目すべき感染症>腸管出血性大腸菌感染症 2012年08月24日