■■■■■ 2012.9.7 +追加 ■■■■■

  ヘリ開発官製談合ニュースが気になる

防衛省幹部が仕様書をメーカーに漏らしたいうことで、談合の疑いで、東京地検特捜部が捜査しているとのこと。
陸上自衛隊次期多用途ヘリコプターの研究開発事業の競争入札に係わる件。メーカーから便宜の供与は受けていないようだ。

もしそうだとしたら、他のプロジェクトで利益が出ない状況にさせてしまったから、その見返りに案件受注させたといった、貸し借り文化に基づく馴れ合い受注調整話か、となるが、待てヨ。
軍需産業なくしては、装備は張子の虎だから、主要企業が不調にならないように気配りする位のことは行ってはいそうな感じはしないでもないが、これは新機種開発プロジェクトでの話。しかも兵員輸送を担う主力機。そんな発想で取り仕切るとは思えないが、本当かネ。
ここら辺りは、専門家による背景解説が欲しいところ。

なにせ、軍用航空機の仕様とコストの関係は自明ではない。特に、どこ辺りまで高機能化できそうかは、メーカーでないと予測はつきがたいから、発注側が自由に仕様書を書ける状況に無いと見るべきだろう。両者が膝を交え、腹を割った議論ができない限りまともな新機種など実現できる訳がないと思うが。
従って、情報交換に際しては、どの辺りまで開示すべきかの線引きは微妙なものがある筈。されど、組織としてのガイドラインは存在している訳で、それを破る幹部が存在するということは、属人的なルールが通用している可能性もある。もし、そうだとしたらことは重大。

しかし、確信犯的な不正もありえそう。
今迄の技術の流れを考えた上で、ここはなにがなんでも決断ということ。例えば、現行活躍機種を土台にした新機能満載型を作らせない限り、日本の防衛体制は間違いなく崩れると見ていたとしたら、意図的に情報を漏らす可能性はありそう。
金欠で次世代機転換が進まないなら、現行機種の長期運用に踏み切らざるを得ない訳で、そうなった時に備えて、何としても同一メーカーに受注させようということになる。
まあ、素人のあてずっぽう話でしかないが、そう思うのは次期戦闘機のF35が1機154億円だというから。価額が少なく見えるようにして、このレベル。予定数揃えるのはどう考えても無理である。そんなことは始めからわかっていても、対米関係重視ということで意思決定を行う組織なのである。(張子の虎路線だから、反対派も存在すると思われる。)・・・というのは全くの思い込みで、よく記事を読んでいなかったので間違ってしまった。全く逆。競合の落選企業が現行機種。なんということ。過去の新型ヘリ検討の経緯上選んだか、エンジン開発を狙ったということかな。

この不正とは関係ないが、考慮しておくべき点を加えておこう。
国としての、航空機産業をどうするかという戦略方針だ。(この分野を強化する方針は、米国政府に嫌われるから、できるだけほったらかしにしておくという訳でもなかろう。それに、by-wireのように、航空機技術が自動車産業に移転していくことも多い訳だし。)非軍需の国内市場は余りに小さいから、グローバル展開は必須だと思うが、日本のヘリコプターは影が薄い。仕掛けが必要ではないかと思うが。と言っても、ホンダのように、自分の力で、ビジョンを実現する企業もあるから、余計なお世話という考え方も成り立つが。
ただ、仕掛けと言っても、そう簡単な話ではない。技術開発に当たっては特定企業への贔屓をあからさまにする以外に手はないからだ。

(記事)
防衛省幹部 仕様書を漏えいか 9月6日 15時51分 NHK
陸自ヘリ巡り不正疑惑 川重、大型契約に影響も 2012/9/5 21:37 日本経済新聞
F35、1機1.5倍の154億円に 防衛省、来年度概算要求 2012/9/4 23:45 情報元 日本経済新聞 電子版


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