■■■■■ 2012.9.9 ■■■■■

  fMRI利用研究の本命登場か

多ボクセルパターン解析(MVPA)は初耳用語だったが、fMRIを活用したその成果話には仰天させられた。

うーむ。
それにしても、科学ジャーナリストに書き直ししてもらわないと、大学の発表要旨では、素人には意味がよくわからん。なんかブレークスルーの予感を感じさせるものではあるが。

題して、「心の多様な動きを解読するfMRI」。
fMRIによるデータ採りはそこらじゅうで行われているが、まあ、そりゃやそうなのだろうが、それで一体全体なんなのという感じしかしなかった。
単に脳味噌のどの部位が活発になっているか計測してみましたという話から一歩も進んでいない印象が強かったからである。

なかでも気になるのが、測定時の環境の違いや、個体毎に反応が違う点をどう見ているのかさっぱり語ろうとしない姿勢。平均値とか標準値を示すにすぎず、そんな大雑把なデータ話にどういう意味があるのか理解に苦しむ。
ある条件で、ある個体が、こういう時にこのようになるが、同じようなデータが結構多いので、こういう反応が一般的だと思われるというだけの論旨にしか聞こえない訳である。ただ、そのつながりが一般の人にも面白いと結構なニュースになる訳だが。
正直な印象を言わせて頂けば、なんだかネ。ロボトミー時代の研究を彷彿させてくれるだけ。

今回のニュースリリースは、素人にはわからないところが多すぎるが、「個人の多様な反応特性を入れた言語思考予測モデル」を作ったらしい。もし、そんなことができるならえらいこと。
曲解かも知れぬが、ひょっとすると、ヒトが「心」と見なしている機能は、脳細胞集団が、コンピュータ同様に、決まったパターンに従い勝手に判断しているだけかも。「意思決定」とか、感情的対応をしているような気分にはなるが、実は後付け反応の可能性もなきにしもあらず。・・・そんなことが、こうした研究が進むと、はっきりとわかってしまうのでは。

遠い将来とは思うが、「身障者の支援デバイスの開発に役立つ」とされているから、簡単に言えば、ヒトが何を考えているか予想できるということのようだ。コンピュータ処理能力トレンドが今の調子で進むと仮定すれば、これは夢の話ではなく、早晩現実化するのは間違いなさそう。

と言っても、ズブの素人だから要旨読み違いの可能性もある。残念ながら、もとの論文を読む素養も気力もないが、興味だけは大いにそそられる。

(当該論文) Hiroyuki Akama[赤間啓之 東工大大学院社会理工学研究科 人間行動システム専攻 准教授], Brian Murphy, Li Na, & Yumiko Shimizu; "Massimo Poesio, Decoding Semantics across fMRI sessions with Different Stimulus Modalities: A practical MVPA Study", Frontiers in Neuroinformatics; (Published online) 24 August 2012 [東工大のリリースに邦文要旨]


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