「睡眠時間が5時間の子どもに比べ、10時間の子どもの海馬は1割程度大きくなっていました」との研究結果が、メディアで派手に取り上げられている。
「心理的ストレスを長期間受け続けるとコルチゾールの分泌により、海馬の神経細胞が破壊され、海馬が萎縮する」という話は前から知られているし、睡眠時間が標準より短いということは、ストレスを感じる生活をしているのだろうから、ありえそうな話。
何故、注目を浴びたかといえば、おそらく、対象が宮城県内の健康な5〜18歳の子どもだからでは。
要するに、以下のようなコメントをつけたかったから。・・・東日本大震災後、被災地ではストレスで海馬の成長に影響が出た子どもがいたとみられるが、「今後1日8時間程度眠れば回復するのではないか」。
余りに短絡的な仮説にビックリ。政治的配慮ということか。
素人的解釈なら、海馬の健全な成長を狙うなら、極く自然に、しかし、「一所懸命」、楽しく頭を使うことに尽きる。健全な疲れからくる睡眠はほぼ標準時間になる。無理に標準時間あるいは、それ以上長く寝たところで、たいした意味はないと思う。というか、逆効果の可能性さえあるかも。
海馬の病変状況を知ると、どうしてもそんな見方にならざるを得ないのだ。
・・・おそらく、アミノ酸不足とブドウ糖代謝異常が異変を引き起こしているのである。その遠因はストレスだらけの生活と偏った食生活耽溺症。特にストレスがかかると問題は一気に深刻化し易い。脳活動が偏に活発化するからだ。その結果、たいていは過剰な糖分摂取に繋がるし、突然、睡魔に襲われたりして、生活のリズムが安定しない。当然ながら、海馬は疲弊する。
現象的には、不規則な睡眠パターンや、短い睡眠時間が特徴として出てくる訳だが、それが本質的な問題ではなかろう。
簡単に言えば、脳領域での糖尿病発症。いわば脳の生活習慣病である。老人化すると、発症が目だつのは当然だが、若年層でもありえる筈。決して成人病ではないのである。
(記事)
よく寝る子ほど脳の「海馬」大きく 9月18日 4時30分 NHK
寝る子は「海馬」も育つ=脳で記憶や学習担う部分―子ども290人測定・東北大 2012年 9月 18日 7:21 JST ウォール・ストリート・ジャーナル日本版[時事通信社]
(参考サイト) “海馬”を究める Part 1 海馬の基礎知識 池谷裕二ホームページ